以前からFujifilmのフィルムシミュレーションの色調を調べて再現 *1 を試みています。
そこそこうまくいっていると考えていましたが、気になる点があり検証してみました。結果、下記のような事がわかりました。
輝度毎に色相が変わることをメーカーが公式に明言しているClassic Neg.やNostalgic Neg.などと同様に、Classic Chromeも輝度毎に色相をシフトさせている。
過去に作成したLightroom用の設定の完成度は思ったよりも低く、また、キヤノン用のPicture Style Editorを使用した再現は理屈の上では不可能、ということになります。
検証内容
所有しているFuji機X-T100のClassic Chromeで空を撮影しました。1/3EV単位で露出補正を行い、15枚ほど撮って出し撮影しました。
- 15カットの内、7枚ほど並べています。
- 各カットの特定の箇所(青空の部分)を平均化し、測色しました。
検証結果
- 明るくなるにつれ、輝度50あたりから輝度85あたりまで空の色相がY(イエロー)側にシフトしています。
- いわゆる「ハイライトにアンバー被り」の状態です。
- 結構なめらかに変化しています。
輝度50から80とは、だいたい下記のような範囲です。
色相のシフト量は約7°(213°から206°)です。目視で判別できる変化です。
- 15カット全てを並べた状態の内、50より暗い輝度では色相のシフトは発生していません。85より明るい輝度でも色相の変化はありましたが、白飛びが発生し始めていることもあり、正確な挙動は把握できませんでした。
- rawファイルをLightroom内蔵のカメラプロファイルを使用して現像した場合もほぼ同じでした。
- rawファイルをAdobeカラーで現像した場合は、輝度ごとの色相の変化はほとんどありません。
未検証
- ハイライト部と同様に、シャドウ部も色相がシフト(青被り?)してることが考えられますが、未検証です。
- 以前からある(ネガ)フィルムシミュレーション「PRO Neg. Std」「PRO Neg. Hi」なども、同様の色相のシフトを行っていることが考えられますが、未検証です。
- 「Provia」「Astia」「Velvia」もどうでしょうか。
まとめ
やはりフィルム風の質感・ニュアンスの再現には、輝度ごとの転びが重要なのでしょう。つい先日もネガフィルム調の再現を試しました *2 が、最もそれらしい効果があったのはRGB別トーンカーブの編集でした。
余談
露出で色相が変化するという事は画像としての再現性がないという事、要は「低品質」「劣化」です。
「素敵なニュアンス」や「エモい感じ」のためにあえてカメラメーカー自らローファイにするのはどうなんだろう、といつも考えてしまいます。
「じゃあ、オールドレンズやアナモルフィックレンズ、何ちゃらミストフィルターなんか使おうとするなよ」とセルフ突っ込みが入るのでそこで思考停止します。
追記
ハイライトのY被りをBチャンネルのトーンカーブを操作して再現してみました。かなり微妙な補正量です。
これを組み合わせる事で、Classic Chromeの再現度は85%くらいにアップすると思います。