色域を狭くするlutを作ってみました。
sRGBの色域を疑似的にcmykの色域に変換するlutです。カラープロファイルはそのままですが、cmyk色域外(鮮やかなピンクやエメラルドグリーンなど)の彩度を下げます。バランスをとるために色域内の色もわずかに影響をうけます。
作例
上:オリジナル
下:lutを適用
蛍光ピンクの行灯が落ち着いた色になっています。全体のバランスはとれているので、単独で見た場合も特に不自然に感じることはありません。
上:オリジナル
下:lutを適用
デジカメ特有のカラっとした青空が落ち着いた色調になっています。
上:オリジナル
下:lutを適用
モチーフがすべて色域内であれば変化はわずかです。
制作意図
お気づきの方もいるかもしれません。こちらはPhotoshopなどでrgbからcmykへのモード変換を行う際の色調の変化と同じです。
Fujifilmのフィルムシミュレーションの解説を読むと「グラフ雑誌の印刷物をモチーフにした *1 」「アメリカの写真集の色調を参考にした *2 」といった意味の説明が出てきます。印刷物の狭い色域はデジカメの鮮やかな発色とは異なり、一見普通でありながらどこかアナログ感のある色調、ということなのでしょう。
単に全体の彩度を落とすのとは異なる、独特の渋さがあるようにも思います。
作り方
今回のlutの制作はIWLTBAP LUT Generatorを使用しています。
生成した「HALD」はタグのないRGB形式ですが、こちらをcmyk *3 に変換し、再度sRGBに変換します。cmyk化で一度狭くなった色域は、rgbに変換しても元には戻りません。
こちらを使ってlut(.cubeファイル)を作成します。
実際にはこのような変化 *4 になります。彩度や明度だけでなく、色相もわずかに変わります。
使い途
以下の使い途があると思います。
- (Photoshop上で)調整レイヤーで適用度を変えながら使う。
- 動画編集時のカラーグレーディング(の隠し味)に使う。
- Lumix S9などのカメラに登録して使う。
今回制作したファイルはこちらからダウンロードできます。「240718_sRGBtoCMYK.cube」です。