coluli

安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

15年前の古いrawを再現像

昔撮った写真 *1 を「デジタルレンズオプティマイザ」で目一杯補正して現像し直してみました。

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

Lightroomでraw現像すると、安いレンズ・古いレンズでも収差を補正できることに気づいたのは、今から12年ほど前(2012年ごろ)でした。

その後、つい先日、キヤノン純正のDigital Photo Professional 4(DPP4)のデジタルレンズオプティマイザ(DLO)を使うと、さらに綺麗に各種収差を補正できることに今さらながら気づきました。

収差補正用のプロファイルは、フィルムEOS時代の古いEFレンズも対象です。昔のカメラとレンズでraw撮影した写真をハードディスクから探し出し、改めて現像しました。

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

撮影に使用しているカメラはEOS Kiss Digital Xです。2006年発売、1010万画素の当時のエントリー一眼レフです。レンズはさらに昔、20世紀のフィルムEOS時代に購入した、EF24mm F2.8、EF35mm F2.0、EF100mm F2.0などです *2

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

どれも色収差はきれいに消えています。建物の歪曲もほとんどありません。画面隅の画質の向上は素晴らしいものがあります。

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

古いカメラなのでシャドウ部のノイズはそれなりに目立ちます。こちらはDLOの改善対象 *3 ではありません。

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

高精度なレンズプロファイルデータを用意しているのはキヤノン *4 だけです。ちょっと見直しました。

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

DLO(DPP4)で目一杯補正した昔の写真

撮影に使用した機材は今はどれも処分してしまいましたが、残しておいたとしてもまだまだ実用になりそうな感じです。不足しているのは画素数と感度ぐらいで、アマチュアの私にとって「画質」は十分です。

古い機材がソフトウェアの進化でよみがえる、というのはなかなか興味深いです。


*1:2007年~2012年に撮影した写真です。

*2:24mmや35mmは非usmの旧タイプです。ほかにも、50mm F1.8IIや、18-55mm F3.5-5.6 IS(こちらも旧タイプ)を使っています。

*3:DPP4は課金(サブスクリプション)すると、クラウド上のAIを使ったノイズリダクションができるそうです。まだ試したことはありません。

*4:「ユーザーの囲い込み」とも言えます。ただ、この画質改善を見てしまうと、(プロファイルのない)サードパーティー製のEFマウントレンズ・RFマウントレンズはちょっと使う気がおこりません。

キヤノン機とLightroomの相性(続き)

DPP4でフル補正_MG_8897

先に結論

キヤノン機で撮影する際、

  • キヤノンの純正レンズ+Digital Photo Professional 4の組み合わせが、各種収差のデジタル補正の効果が最も高い。特に色収差
  • Lightroomによる収差補正は効きがいまひとつ。
  • 他社製レンズを組み合わせて使うのであれば、(効きがいまひとつの)Lightroomの収差補正を使わざるを得ない。

ハードもソフトもキヤノン純正で固めた方がよいのか……。

前回

昨年、購入したCanon EOS R50のテスト撮影を行っていた際に、Lightroomのraw現像では色収差を十分に補正できていない事に気づきました。

その時はてっきり新商品特有のバグだろう考えていたのですが、そうではありませんでした。

キヤノンの現像アプリDigital Photo Professional 4の「デジタルレンズオプティマイザ(DLO)」は、Lightroomのレンズプロファイルによる補正よりもずっとキヤノン純正レンズに最適化された機能でした。

自社所有のレンズデータに基づいていること、色収差の補正だけでなく回折の解像低下も補正するなど、Lightroomよりも充実しています。

Lightroomの補正も十分有用だと思っていましたが、Lrに内蔵されている各社各種のレンズプロファイルデータ *1 は、カメラメーカーからの支給ではなく、どれもAdobe製でした。補正力に差があるようです。

比較

EOS M2とEF-M 22mm F2.0 STMの組み合わせです。冒頭の画像の左肩をトリミングしています。

色収差フル補正

↑ 現像アプリのデジタル補正関連をすべてオンにしています。DPP4のDLOはオンです。

色補正なし

↑ 現像アプリの色収差補正関連をオフにしています。周辺光量補正や歪曲収差補正はオンのままにしています。

色収差に着目して比較すると、

DPP4>Lr>DPP4(補正なし)>Lr(補正なし)

の順でした。

DPP4とDLOオンの組み合わせのみ、色収差がキレイに補正されています。明らかに他と比べて品質に差があります。

改めて結論

キヤノン機使うならレンズもアプリも全部キヤノン純正で作業した方が高画質。

他サイトの検証記事

DLOに言及している他の方々のblog記事を調べてみました。

visual-sakura.club

  • カラーフリンジがLrでは消えない。DPP4なら消える。
  • Lレンズではそもそもカラーフリンジがほとんどない *2

getnavi.jp

  • DPP4の回折補正後の描写は鮮明。

比較記事はこれら以外にも多数ありました。ちなみに使い勝手に関してはどれもLightroom推しでした。私もそう思います。

資料

使用しているキヤノンのレンズがDLOに対応しているかどうかはDPP4操作時に確認できますが、対応レンズ全てをメモった方がいました。

https://blog.pelicanlovers.com/2021/01/blog-post.htmlblog.pelicanlovers.com

フィルム時代からある古いレンズも多く含まれています。

補足

  • (オールドレンズなどの)レンズの描写をそのまま味わうのであれば、本記事の内容はまったく無関係です。
  • 「DPP4の方が肌の色がよい/Lrの方がよい」など、色調に関する話は今回はしていません。
  • DPP4とLr以外の現像ソフトは比較していません。DxO PureRAWのデジタル補正 *3 などは割と気になります。

追記

X(twitter)で「デジタルレンズオプティマイザ」で検索すると、10年以上前から言及されていた話題のようです。まったく知りませんでした。「安レンズ・古レンズがよみがえる」「カメラ側で『強』に設定するとバッファが詰まる」など、いくつかの知見を得ることができました。


*1:

Lightroomのレンズプロファイルの在り処は、

Macの場合) /Applications/Adobe Lightroom Classic/Adobe Lightroom Classic.app/Contents/Resources/LensProfiles/1.0/

Windowsの場合) \Program Files\Adobe\Adobe Lightroom Classic\Resources\LensProfiles\1.0\

です。メーカー別に格納されています。

(レンズプロファイルではなく)カメラプロファイルのデータはメーカーからの提供だと思いますが、出したくないメーカーは色々画策してるようです。例えば、FujifilmのカメラプロファイルはLrで機能しますが、dcpファイルがみつかりません。

*2:デジタル補正なしでも高性能な「Lレンズ」にもレンズプロファイルは用意されています。色収差補正が不要だったとしても、回折補正やローパスフィルター由来の解像劣化の改善には有用なのかもしれません。

*3:調べてみたところ、対応レンズが限られているのが残念です。例えば、(エントリーレンズの)EF 50mm F1.8 STMなどは対象外です。

コンビニの写真プリント

コンビニエンスストアのマルチコピー機を使って、写真プリントを試してみました。

壁に貼って楽しむ

30年ぶりのプリント

コンビニの写真プリントは以前からあるサービスですが、これまで使った事はありませんでした。初めてです。

そもそも「サービス判の写真プリント」をやるのもだいたい30年ぶりです。20世紀のフィルムカメラを使っていた時代はもっぱらポジフィルムばかりだったので、ネガフィルム+サービス判プリントはほとんどやっていませんでした *1

_MG_0959

Canon EOS R50に自作のPicture Style、「RICOHの『ポジフィルム調』風 *2 」を入れて撮影した撮って出しjpgです。こちらの他、適当に写真をみつくろってusbメモリで近所のローソンに持ち込みました。

機械を操作するとすぐに(1分〜数分)プリントが出てきます。現像に出してから仕上がりまで半日から数日かかる「同時プリント」や、撮ったその場で出てくる「ポラロイドカメラ」の感覚とはやや異なります。不思議な使い心地でした。

L判のサイズは127mm × 89mmです。APS-Cの3:2の比率とは微妙に異なるので、ノートリミング余白ありでプリントすると余白の量が上下左右で異なります。下が余りました(冒頭の写真)。

4×5ポラ風

ポラロイド風

写真データに大きめの余白 *3 をつけてからプリントすると、ピールアパート式の4×5ポラ風になります。ピンの浅い写真などを使うとよりそれらしいかもしれません。

大きな色ズレが発生していますが、意図したものではありません。プリントのタイミングによりズレ量は都度異なります。

DPE

DPE風

以前考案した、Lightroomでサービス判プリント調に現像 *4 した写真をプリントしてみました。Low-Fi画像 × Low-Fi印刷なので、なんかやり過ぎな感じに仕上がりました。

ですが、解像感はかなりあります。135フィルムのサービス判はこんなにシャープではありません。

解像性能は高め

太さの異なるストライプを配置した手作りの解像度チャートを作成してプリントしてみたところ、

解像度チャート

マルチコピー機はそれなりに解像力が高いようです。きちんと解像するのは縦ストライプは8px程度、横ストライプは9px程度ですが、1pxのストライプも完全には潰れずモアレ状になっていました。

フィルムプリント風に、もっとそれらしくするには全体に「ガウスのぶれ」あたりをつけるか、明瞭度をマイナスにするのもアリかもしれません。

色域は狭め

一方、色再現はさすがにそんなに高くありませんでした。以前作成したカラーチャート *5 をプリントしてみました。

rgb_cmyk_scan

上がカラーチャート、下がカラーチャートを写真プリントしたものをスキャナで取り込んだもの、中央は(rgbの)カラーチャートをcmykに変換したもの(をrgbに戻して配置したもの)です。鮮やかな緑や発色のよいピンク(マゼンタ)などはあまり得意ではないようです。


色々楽しんで、値段は1枚あたり30円 *6 でした。あれ? 30年前とあんまり変わらない値段……。


*1:奥さんはコンパクトカメラ+ネガフィルムだったので、DPEに触れる機会はそれなりにありましたが、それでも21世紀初頭までです。

*2:

*3:4512px × 3072pxの画像に上下左右150pxずつ余白をつけて4812px × 3372pxにしました。縦基準で11%ほど大きくしています。

*4:

*5:

*6:ローソンやファミマ(SHARP)のマルチコピー機セブンイレブンFUJIFILM)のマルチコピー機は1枚30円ですが、100円ショップのダイソーのマルチコピー機RICOH)は1枚20円でした。

横田基地沿い

東京 福生ふっさ在日米軍横田基地周辺に行ってきました。

IMG_0901

具体的には、JR青梅線拝島駅から八高線東福生駅近くまで、徒歩で国道16号線沿い *1 を散策しました。

16号線を挟んで基地の反対側には「アメリカ風」のお店がたくさんあります。古着屋、家具屋、ミリタリーショップ、雑貨店、飲食店など……。

昔は「アメリカ人向け(在日米軍人向け)」のお店がもっとあったような気もしますが、今残っているのは日本人(観光客)向けのお店ばかりのようです。

IMG_0895

教会はおそらく米国人向け。

IMG_0907

オリエンタル調含めたアンティーク家具のお店も米国人向けかも。


お昼はベーグルのお店 *2 でサンドイッチを食べました。

新しめのお店のようです。雰囲気も良く、とてもおいしかったです。

シンプルで質素な磁器の食器がいい感じだったので、裏返してみたら「TAMAKI」 *3 とありました。

20231112_125058


16号線沿いを少しでも離れると、多摩西部のごく普通の風景になります。「ペンキで描かれた英語の看板」やいわゆる「米軍ハウス」的な建物がもっとたくさんあったような気がするのですが、最後に訪れたのはもう何十年も前のこと *4 なので、変わってしまっているのは当然でしょう。

IMG_0914

IMG_0912


IMG_0900

次の日米友好祭(基地開放のイベント)は2024年5月 *5 だそうです。


*1:

こちらの紹介記事と同じルートです。 play-life.jp

*2:

ja-jp.facebook.com

*3:

maruri.ne.jp

*4:

福生市は実家に近いので、小さい頃は横山模型店に何度か行きました。お店は数年前に畳んでしまったようです。

ojitabi.com

*5:

flyteam.jp

Adobe Lightroom 6.14

最終バージョンの配布終了

Creative Cloudの契約不要、買い切りで使用できるraw現像アプリ「Adobe Lightroom」の最終バージョンは6.14です。

アプリのサポートはだいぶ前に終了しましたが、インストーラの配布も今年の末(2023年12月31日)で終了するとの事。

helpx.adobe.com

Lightroom 6を購入済みの方は最終バージョンをダウンロードしておきましょう。購入していない方も今後中古でシリアルを入手するかもしれないので、一応ダウンロードしておきましょう。


(続くかも)

小綺麗なニッケル水素電池

自宅の電池は基本、ニッケル水素電池を使っています。

Panasonicの最新(第5世代)のeneloop *1 は性能はよいのですが、無駄に高価です。また、eneloopブランドは大嫌い *2 なので、代わりの候補を探してみました。

条件

Made in Japan

日本製を条件にすると、民生用ニッケル水素電池を唯一国内で製造しているFDK製になってしまいます。FDKはeneloopの製造元です。

廉価

コスパは重視します。日本製を条件にしておけば、安かろう悪かろう *3 は回避できると考えています。

小綺麗な外観

できれば見た目がいいものを選びたいです。ダサいのはいやです。

Askul

Askulのニッケル水素電池

アスクルオリジナルの電池のグラフィックはなかなか洒落ています。デザインはスウェーデンのStockholm Design Labだそうです。

www.stockholmdesignlab.se

細い数字にリサイクルマークのような矢印のエレメントがあしらわれています。グラフィックで「充電池である」事を表現している、というわけです。万人に理解可能かどうかは疑問ですが、アプローチには好感が持てます。

単3形で950mAh、単4形で550mAhなので、eneloop liteよりもさらに低容量です。低容量タイプは繰り返し利用回数が多いので、(充電を繰り返しながらの)長期間の利用が期待できます。また、軽量なので(電池式の)ワイヤレスマウスなどに使うと快適です。

価格は単三タイプが1本当たり247.5円です。一見割安に見えますが(繰り返しますが)低容量タイプです。

標準容量タイプ(旧製品?)もありましたが、配色が好みではありません。ただ、漢字で「充電式」と大きく表示しているのは正しい態度だと思います。

IKEA

ikeaのニッケル水素電池

文字組みだけのさっぱりとしたデザイン *4 ですが、とてもお洒落です。

スペックは第4世代のeneloopのような気もしますが、「1000回」の繰り返し利用回数がJISの旧規格なのか新規格かよくわかりません。そもそもJIS規格に則った表記ではなさそうです。

いずれにせよ、お洒落な割にすごく安いです。単三タイプが1本当たり199.75円です。他と比べて不自然に安いので、Made in Japanとはいえ、何らかのスペックダウンがあるのかもしれません。

その他

見た目を気にしないのであれば東芝のIMPULSE(インパルス)富士通ブランドニッケル水素電池がよいと思います。どちらも国産の1900mAhで、第4.5世代のeneloopと同等品だと思われます。AmazonやYodobashiでは単三タイプが1本当たり272.5円(東芝)、257.5円(富士通)です。

2023年春頃に、Amazonオリジナルカラー(ロゴが黒)で第4.5世代のeneloopが廉価で販売されていましたが、今は高価・高性能な第5世代(2000mAh・充電回数600回)に置き換わっていました。単三タイプが1本当たり545円(!)です。

◎全て2023年11月の価格です。


*1:

現在販売されているeneloopは第5世代です。リニューアルしたのは2023年4月25日です。第5世代のeneloopは、繰り返し充電回数は2,100回(を維持したまま)、単3形では2,000mAh、単4形では800mAhに容量をアップしています。

eneloopの世代ごとの比較はこちらが詳しかったです。 pc.watch.impress.co.jp

2005年の第1世代では1,000回(旧JIS規格)だったサイクル数は、 2009年の第2世代では1,500回、 2011年の第3世代では1,800回、そして、 2013年の第4世代では2,100回に増加させた。 その後、2015年の進化はサイクル回数は増やさずに、自己放電(残存率)をそれまでの5年間で70%から、10年間で70%に改良しており、ここは第4.5世代と言えるものになっている。

*2:

*3:長期利用時の液漏れも気になりますが、海外製のニッケル水素電池、特に大容量のものは規格よりも太かったり長かったりすることがあるようです。電池ケースから抜けなくなるのは困ります。

*4:と思ったらかわいいアイコンがあしらわれています。「充電池」であることを一生懸命(文字を使わず)説明しようとしています。

Macromedia Fireworks 3

メインマシンをmacOSからWindowsにスイッチしました *1

Windowsのいいところのひとつは、とにかく互換性を重視している点です。新しい仕組みにどんどん置き換えていくApple製品とは真逆で、Windowsでは基本技術の切り捨て/置き換えはほとんどありません。なので古いアプリ、古いユーティリティがとりあえず動きます。あるいは超長期の移行期間を用意してくれています。

Macromedia Fireworks 3

20年以上昔に購入した、Macromedia Fireworks 3.0をインストールしてみました。

About.fw

↑ スプラッシュ画面、ではなくアバウト画面です。登録名やシリアル番号は消しています。

FireworksはWebグラフィックデザイン用のアプリです。3.0日本語版は2000年に発売されました。

「Webグラフィック」アプリと謳われてはいましたが、ビットマップ画像とベクター画像を同時に扱える、PhotoshopIllustratorをの基本機能をいいとこ取りしたようなアプリ *2 です。

  • 画像のシンボル化(Photoshopの「スマートオブジェクト」のようなもの)
  • グラフィックシンボルと(継承しつつ編集可能な)インスタンス
  • 文字スタイル・グラフィックスタイル
  • ベクターによるマスク

など、今では常識となっている便利な機能が当初から搭載されていながら動作は軽く、当時の超重かったPhotoshopに比べて非常に生産性の高いツールでした。個人的にとても愛用していました。

バージョンは(途中Adobe買収を経て)CS6まで進みましたが、「Sketch」「Adobe XD」「Figma」など、新世代のWebデザインツールが登場したことで、もともと大きくないシェアもさらに下がり、機能アップデートも行われず、静かに消えていきました。

使ってみると

Windows 11にインストールしました。あっさり起動し、とりあえず使えました。それだけでも驚きです。

  • 最新のデジカメの大きな画像も取りこめます。シンボル化すれば拡大縮小をしても劣化しません。
  • 縮小時のバイキュービックの品質は、他のグラフィックアプリと同等です。
  • ペンツールでなんでも *3 描けます。マスクにすることも。
  • もちろんテキストも入力できます。縦書きも。

ちょっとした作図、あるいはYouTube動画のタイトル画面程度であれば、十分に実用になりそうです。

使ってみる

ベクターグラフィックのマスクの輪郭を(ベクターのまま)簡単にぼかせるなど、ほんの一時期、Photoshopよりも高機能でした。

使い続けられるか

今でも使い続けられるか、あるいはメインのグラフィックアプリとして使えるか、というとさすがにつらいものがあります。

  • インラインで文字入力ができない。
  • アンチエイリアスのかかり具合は「プレビュー」または画像書き出ししないとわからない。

(当時のマシンパワーに合わせた)当時のバージョン *4 ということもあり、そこらへんは軽快さとのトレードオフとなります。でも軽い!*5

  • カラープロファイルに対応していない。

取り込む画像は全てsRGBにしておく必要がありますので、AdobeRGBなどの素材は、結局何かしらの画像編集アプリ(Photoshopなど)で下処理する必要があります。

  • 日本語プロポーショナルに対応していない。

SketchやFigmaのような(メトリクス情報を元にした)日本語プロポーショナルができません。これはちょっと残念です。手動によるカーニング調整はできますが、(もう)やりたくありません。

  • 文字入力に不具合あり。

特定の文字を挿入すると文字化けしたり不要なスペースが発生したりします。これが一番厳しいですね。「“」「”」などの引用符の前後スペースに不具合がありました。「é」などのアキュートも表示できません。ポール・モーリアは「Paul Julien André Mauriat」です。

無理に使わなくても

個人が趣味で使うのであれば、今なら *6 Figmaの「スタータープラン」を無料で使ってもほぼ同等の作業ができます。

また、「Adobe alternative app Windows」などで検索すればサブスクライブ不要で廉価なアプリは多数見つかります。

しかしながら既に所有しており、OS付属の「ペイント」よりはずっと高機能なので、今後もちょっとした作図作成には使用すると思います。

あと、最新のAdobe製品と違って古いTrueTypeフォントなども使えます。

追記

メルカリでStudio MX 2004を購入し、インストールしました。軽快感はさほど変わらず、インライン文字入力もできるようになりました。

ameblo.jp


*1:

*2:Aldus社の「SuperPaint」を源流に持つアプリともいえると思います。

dysdis.hatenablog.com

あまり関係ないけど面白かったので。

*3:ベジェ曲線も描けますが、アンカーポイントを手動で編集すると整数値に配置する事になるので、(「Glyphs」などの)フォント作成アプリの使い勝手に近いかもしれません。

*4:「Studio MX(ver.6)」までのバージョンであれば、アクティベーション不要、シリアル番号だけで使用できます。メルカリやヤフオクで探せば今でも手に入れられます。

*5:軽量なアプリですが「軽さ」のタイミングが異なります。ファイルの保存に意外と時間がかかったりします。実使用ではXDとかの方が「快適」です。

*6:今無料で使えたとしても、アプリの料金体系が変わる事はよくあります。個人的には買い切りアプリがアップデート後にサブスクライブになるのが一番ツラいです。例)FiLMiC Pro