Fujifilmのフィルムシミュレーション「クラシックネガ(Classic Neg.)」をAdobe Lightroomで再現してみました。
再現度は7割ほどですが、xmpファイルを共有します。具体的な調整数値は下記のようになります。
xmpファイルはこちらからダウンロードできます。
作成方法は前回のノスタルジックネガ再現 *2 の時と基本同じです。クラシックネガを撮影できるFuji機は所有していません。
◎記事内の写真はEOS R50で撮影したrawを今回の設定で現像したものです。
所感
以下は、Adobe Lightroom(やCanon Picture Style Editor)を使ってのFujifilmのフィルムシミュレーションをいくつか再現してみての感想です。
色相の調整幅が足りない
ノスタルジックネガ、クラシックネガ、などのフィルムシミュレーションの色転びを再現するには、各色相のLightroomの調整幅は十分ではありませんでした。特にマゼンタの色相転びは大きく、HSL/カラーを最大値の100まで使っても補正しきれません。
以前作成した(一見「普通」の)アスティアなども、Picture Style Editorで色相調整した際に補正量が足りず、意図通り再現できませんでした。
Adobeの5ゾーンではきめ細かく調整できない。
明暗の調子は、操作が容易かつ数値で直感的に把握できる、Adobeの5ゾーン *3 (=「コントラスト」「ハイライト」「シャドウ」「白レベル」「黒レベル」)を使って調整しています。「トーンカーブ」はあまり使っていません。
階調の「考え方」を再現するのであればこちらで十分ですが、細かく追い込みたい場合にはやはりざっくりすぎるようです。
ただ、トーンカーブをS字/逆S字にして、要所の輝度を調べて、コントロールポイントをたくさん打って……と調整していたらおそらく作業は終わらず、同じところをぐるぐるいったりきたりだと思います。なので、これはこれでよしとします。
ちなみに、クラシックネガの「絶対に白飛び・黒潰れ許さないマン」を再現するには「白レベル」「黒レベル」の調整だけでは足りず、トーンカーブの両端を操作 *4 する必要がありました。
「Adobeの8色相」では足りないが…
色相別の操作はAdobeは最大8色相 *5 、キヤノンは6色相 *6 です。
「ぱっと見の雰囲気」の再現であればこれで十分なのですが、特定の色相、具体的には「肌色」や「(木々の)葉の緑」を厳密に再現するにはもう少し色相が細かく分割されていれば、と思う事が多かったです。
肌色は色相の僅かな違いに気づきやすいですし、グリーンは色相の範囲が広いので、意図する色に調整するのは難しかった(うまく補正しきれなかった)です。
また、個々の色相をそれぞれ大きく操作した結果、隣の色相との間にバンディング(グラデーションのジャンプ)が一部に発生してしまいました。これはRGBのカーブの操作では発生しないと思うので、作業の容易さと画質はトレードオフなのかもしれません。
今後について
気が向いたらまた別のフィルムシミュレーションを作ってみようと思います。
- Fujifilmの「エテルナ」などは作る価値がありそうです。
- SIGMA fpの「ティール&オレンジ」「パウダーブルー *7 」などもいいですね。ただ、どのように素材をあつめてどのように再現しましょう……。
- PENTAXの「雅」などもCanonの撮って出し用に作ると *8 便利そうです。ただ、CTEと組み合わせないと真価を発揮できない気もします。
- RICOH GR用の「ネガフィルム調 *9 」も地味によいかもしれません。
- SONYのイニシャル2文字系もどうでしょう。
その前に作った設定でもっと撮影すべきですかね……。
*1:
輝度毎の色転びを再現するためにBとGのトーンカーブを調整しています。ハイライト・シャドウの両端はカットしています。
*2:
ノスタルジックネガ再現と異なる点は、
- 色温度は操作せず。
- 彩度を大幅に下げている。
などです。
*3:本来は「露出(ミドル)」含めての5ゾーンです。今回は露出は変えていません。
*4:
白飛び・黒潰れを発生させないためにトーンカーブの両端をカットしています。
「入力:0」を「出力:5」に、「入力:255」を「出力:250」に。
*5:
*6:
*7:fp所有の方が作成していました。xmpファイルの配布はしていないようですが、数値・カーブの編集時の画面は掲載されています。 nomber9.com
*8:作成しました。ネイチャー写真によいと思います。
*9:作成しました。地味でした。