先に結論
キヤノン機で撮影する際、
- キヤノンの純正レンズ+Digital Photo Professional 4の組み合わせが、各種収差のデジタル補正の効果が最も高い。特に色収差。
- Lightroomによる収差補正は効きがいまひとつ。
- 他社製レンズを組み合わせて使うのであれば、(効きがいまひとつの)Lightroomの収差補正を使わざるを得ない。
ハードもソフトもキヤノン純正で固めた方がよいのか……。
前回
昨年、購入したCanon EOS R50のテスト撮影を行っていた際に、Lightroomのraw現像では色収差を十分に補正できていない事に気づきました。
その時はてっきり新商品特有のバグだろう考えていたのですが、そうではありませんでした。
キヤノンの現像アプリDigital Photo Professional 4の「デジタルレンズオプティマイザ(DLO)」は、Lightroomのレンズプロファイルによる補正よりもずっとキヤノン純正レンズに最適化された機能でした。
自社所有のレンズデータに基づいていること、色収差の補正だけでなく回折の解像低下も補正するなど、Lightroomよりも充実しています。
Lightroomの補正も十分有用だと思っていましたが、Lrに内蔵されている各社各種のレンズプロファイルデータ *1 は、カメラメーカーからの支給ではなく、どれもAdobe製でした。補正力に差があるようです。
比較
EOS M2とEF-M 22mm F2.0 STMの組み合わせです。冒頭の画像の左肩をトリミングしています。
↑ 現像アプリのデジタル補正関連をすべてオンにしています。DPP4のDLOはオンです。
↑ 現像アプリの色収差補正関連をオフにしています。周辺光量補正や歪曲収差補正はオンのままにしています。
色収差に着目して比較すると、
DPP4>Lr>DPP4(補正なし)>Lr(補正なし)
の順でした。
DPP4とDLOオンの組み合わせのみ、色収差がキレイに補正されています。明らかに他と比べて品質に差があります。
改めて結論
キヤノン機使うならレンズもアプリも全部キヤノン純正で作業した方が高画質。
他サイトの検証記事
DLOに言及している他の方々のblog記事を調べてみました。
- カラーフリンジがLrでは消えない。DPP4なら消える。
- Lレンズではそもそもカラーフリンジがほとんどない *2 。
- DPP4の回折補正後の描写は鮮明。
比較記事はこれら以外にも多数ありました。ちなみに使い勝手に関してはどれもLightroom推しでした。私もそう思います。
資料
使用しているキヤノンのレンズがDLOに対応しているかどうかはDPP4操作時に確認できますが、対応レンズ全てをメモった方がいました。
https://blog.pelicanlovers.com/2021/01/blog-post.htmlblog.pelicanlovers.com
フィルム時代からある古いレンズも多く含まれています。
補足
- (オールドレンズなどの)レンズの描写をそのまま味わうのであれば、本記事の内容はまったく無関係です。
- 「DPP4の方が肌の色がよい/Lrの方がよい」など、色調に関する話は今回はしていません。
- DPP4とLr以外の現像ソフトは比較していません。DxO PureRAWのデジタル補正 *3 などは割と気になります。
追記
X(twitter)で「デジタルレンズオプティマイザ」で検索すると、10年以上前から言及されていた話題のようです。まったく知りませんでした。「安レンズ・古レンズがよみがえる」「カメラ側で『強』に設定するとバッファが詰まる」など、いくつかの知見を得ることができました。
*1:
Lightroomのレンズプロファイルの在り処は、
(Macの場合) /Applications/Adobe Lightroom Classic/Adobe Lightroom Classic.app/Contents/Resources/LensProfiles/1.0/
(Windowsの場合) \Program Files\Adobe\Adobe Lightroom Classic\Resources\LensProfiles\1.0\
です。メーカー別に格納されています。
(レンズプロファイルではなく)カメラプロファイルのデータはメーカーからの提供だと思いますが、出したくないメーカーは色々画策してるようです。例えば、FujifilmのカメラプロファイルはLrで機能しますが、dcpファイルがみつかりません。
*2:デジタル補正なしでも高性能な「Lレンズ」にもレンズプロファイルは用意されています。色収差補正が不要だったとしても、回折補正やローパスフィルター由来の解像劣化の改善には有用なのかもしれません。
*3:調べてみたところ、対応レンズが限られているのが残念です。例えば、(エントリーレンズの)EF 50mm F1.8 STMなどは対象外です。