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安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

Classic ChromeをLightroomで再現する

Fujifilmのフィルムシミュレーション「Classic Chrome(クラシッククローム)」をLightroomPhotoshopで再現しました *1Fujifilm以外のカメラで撮影したrawデータをLightroomを使ってClassc Chrome風に現像することができます。

カラーチャートの作成

測色用のカラーチャートを用意します。市販品は高価なので、8色相のカラーチャートを自作します。日本色研の色紙「トーナルカラー」から8色相分 *2 をチョイスし *3 、台紙に糊で貼り付けて作ります。

色相の正しさ、顔料の精度などはかなりアバウトですが、「差分」を測定するので実用上は全く問題ありません *4

手作りのカラーチャート ↑ 手作りのカラーチャート

カラーチャートの撮影・加工

  • Fujifilmのカメラを使って、屋外の直射日光下でカラーチャートをraw撮影します。X-T100 *5 を使用しました。
  • Lightroomで現像します。1枚のrawを条件を一箇所だけ変えて2種類書き出します。「プロファイル:カラー」と、「プロファイル:Classic Chrome*6 です。16bitのpsd *7 、カラースペースはAdobeRGBで書き出しました。
  • 測色しやすいよう、画像を加工します。「ガウスのぶれ」を使い、紙のでこぼこをフラットに整えました。カラーチップ以外のエリアは黒く潰しています。

プロファイルの選択
↑ Classic Chromeプロファイルの選択

加工済カラーチャート ↑ 加工済カラーチャートの写真

測色と色調整

測色 ↑ 色相「アクア」を測色している様子

  • 「プロファイル:Classic Chrome」の画像をPhotoshopで開き、の画面内の8つの色を「情報」ウィンドウで確認します。各色の色相・彩度・輝度の情報をメモっておきます。
  • もうひとつの「プロファイル:カラー」の画像に「Camera Raw フィルター...」をかけて色を調整します。何度も操作するのであらかじめスマートオブジェクト化しておきます。
  • Camera Raw フィルターの「カラーミキサー」を使用して、8色各色の色相・彩度・輝度をメモっておいた「プロファイル:Classic Chrome」の数値と同じになるまで調整します *8 。カラーチャートの精度が足りないので、隣り合った色相に多少影響が出てしまいますが、確認しながらなんども数値を調整し、全く同じ数値にします。

補正
↑ 実際の補正値

設定の保存と適用

  • 調整を終えたCamera Raw フィルターの設定は、画面右端の「...」から保存します。ユーザー名(homeディレクトリ)/ライブラリ/Application Support/Adobe/CameraRaw/Settings/ にxmpファイルが作成されます。
  • 任意のカメラで撮影したrawファイルをLightroomPhotoshopで開き、作成したxmpファイルを適用します。
  • Classic Chrome風の色調になるので、後は必要に応じて任意の調整を追加し、jpgファイルなどに書き出します。

精度

  • 各色は数値上は全く同じにできましたが、「カラーミキサー」の調整単位は8bitデータの階調(256)より粗いので、あくまでも近似値となります。
  • トーンカーブLightroomのデフォルトです。Fujifilm機の傾向(例:シャドウを早めに潰し気味)は再現していません。
  • 色相のずれはカラーチャートの輝度を前提に再現しているので、輝度ごとに異なる色相のずれ(例:ハイエストライトが緑に転ぶ)があったとしても、再現されません。でも、多分ないです *9

作例

Fujifilmでないデジカメで撮影したrawを「Classic Chrome」風に現像してみました。色温度はX-T100の「晴れ[色温度:5050 色かぶり補正:+3]」で揃えました。また、コントラストを調整(+40)しています。

Canon PowerShot G7 X Mark III

Pentax K-30

Canon EOS M

Olympus E-PL6

Panasonic DMC-G7

Olympus E-M10 Mark III

Panasonic DC-GH5

そして全否定

でき上がったので、各種ファイルを配布……と思ったのですが、記事をまとめている最中に気づきました。カメラプロファイルの編集ツール「dcp tool」を使えば、同じことをもっと正確に、もっと簡単にできるようです。完全な徒労でした。

追記

dcp Toolを導入してみましたが、Fujifilmのプロファイルは含まれていませんでした(見えないところに隠されているようです)。野良のプロファイルをダウンロードすれば使えるとのことですが、AdobeFujifilmとの間でやり取りされた「本物のプロファイル」でないと意味がありません。

カラーチャートの精度はやはり悪かったようです。特にマゼンダの「彩度」「明度」があばれてしまっており、処理した写真を等倍で観察すると、ポスタリゼーションのようになってしまっています。改善の余地がありそうです。

さらに追記

リトライしました。


*1:以前はキヤノン機で撮って出しができるよう、Picture Style Editorを使いました。

*2:私は93色組を購入しましたが、ビビットトーンとブライトトーンしか使わなかったので、48色組で足りると思います。

*3:使用したのは、
ビビットトーンの「あか」「だいだい」「きいろ」「きみどり」「ぐんじょういろ」「むらさき」
ブライトトーンの「ターコイズ」「ぼたんいろ」
となります。

*4:問題ありありでした。

*5:残念ながらX-T100には「Classic Neg.」「ETERNA」のフィルムシミュレーションは搭載されていません。

*6:撮影に使ったカメラが搭載しているフィルムシミュレーションのみ、Lightroomで使用できます。

*7:8bitでもpngでもいいと思います。

*8:Classic Chromeはややハイキー、低彩度な画づくりで、カラーミキサーの調整範囲を超えてしまいます。あらかじめ露出を明るく・彩度を低めに調整しておく必要がありました。

*9:「Classic Chrome」は輝度差による色相のぶれはないです。「Classic Neg.」や「ETERNA」はわかりません。