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安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

PowerShot G7 X Mark IIIのシャープネス設定

PowerShot G7 X Mark IIIの4K動画撮影時のシャープネス設定を検証してみました。

  • Olympus機やPanasonic機に比べ、G7 X Mark IIIはシャープネス設定の幅が広く、最低値の0にするとシャープネスはほとんどかかりません。 
  • PC(iMac 5K)で閲覧する限りでは、シャープネス設定が0でも解像の不足は特に感じません。また、シャープネスをうまくかけたとしても解像「感」がでるだけで、解像力がアップするわけでありません。
  • 逆に、シャープネス設定を上げすぎると「リンギング(輪郭強調)」が目立ってきます。アンテナや電線の周りに白い輪郭が現れてきます。

撮影時の設定は、シャープネス:0がよさそうです。シャープ感が欲しい場合は編集時に追加することとします。


  • 編集時に追加するPremiereの「シャープ」の数値に関しては、25〜50かな、と考えています。かけないかもしれません。
  • 「アンシャープマスク」も試してみましたが、ちょうど良い数値がどうも見つかりません。今回は「適用量:100、半径:1.5、しきい値:0」としています *1
  • ただ、「アンシャープマスク」を追加すると、書き出し時の演算時間がえらくかかります。

*1:私がふだん静止画のraw現像にLightroomで適用しているシャープネスの数値は「適用量:50、半径:0.5、ディティール:25、マスク:0」です。

好みの階調/目指す階調 4

また、目標にしたい動画を見つけました。

映画「ダークナイト」の冒頭シーンです。

私の考える「フィルムっぽい感じ」がまさしくこれです *1

トーンを調べてみました。


ヒストグラムをキャプチャーするのは効率が悪いので、眺めて傾向を箇条書きにします。

  • 空(の階調)は飛んでいない。
  • 空が写っていないシーンで一番明るいのは204(/256)程度。
  • 大半の階調は、輝度10段階のうちの6段階程度の範囲(例:0-153)に収まっている。
  • 黒はほんのわずかに潰れている。
  • 最暗部の階調(最後の粘り)豊か。

また、「自動補正」した際の補正量で、絵作りの傾向がわかります。

  • 全体はややアンダー(約1/2EV)。
  • コントラストをわずかに柔らかくしている(約-5)。
  • が、シャドウをかなり締めている(約-50)ので高コントラストな印象。

  • ホワイトバランスはほぼニュートラル。

  • 輝度ごとの色相のずらしはあまりやってないっぽい *2

191212|追記 一応ヒストグラムを載せておきます。

00.10.08|路上に佇むジョーカーの後ろ姿 ↑ 屋外のシーンでは階調をフルに活用しています。黒がわずかに潰れています。

00.31.21|ビルを渡る二人 ↑204以下、153以下に収められた階調。

01.29.15|屋上の二人 ↑ 空以外は102以下に収められた階調。

02.46.09|銀行の中で首をかしげるジョーカー ↑ 大半の階調を102以下に収めつつ、明るい日差しは255まで利用。


*1:改めて調べてみたところ、ノーラン監督はフィルムで撮る人でした。特にこのシーンはブローニーのように大きいフィルムサイズのIMAX方式で撮影しているとのこと。

*2:Prime Videoで映画本編を観たら、ありがちな緑色に調色されていました。こちらのYouTubeは最終グレーディング前なのかもしれません。

rawシーケンスから動画を作成する

rawシーケンス(連番ファイル)から動画を作成する *1 際の勘所についてメモしておきます。自身の備忘録となります。

現像は1枚だけ。1回だけ。

  • 現像は使い慣れたLightroomを使用します。
  • Lightroomでシーケンスの最初の一枚のみ現像します。全画像現像する必要はありません。「設定の同期」なども必要ありません。
  • 意図通りに現像したら「メタデータをファイルに保存」します(S)。rawファイルの隣に.xmpファイル(現像設定の一式)が作成されます。
  • 画像の書き出しは行いません。

AfterEffectsで変換する。

  • 動画ファイルへの変換は、AfterEffectsを使用します。
  • あらかじめ環境設定で 読み込み設定シーケンスフッテージ を普段自分が使うフレームレート(例:29.97fps)にしておきます。コンポジションごとに都度設定も可能ですが、量をこなすとだんだん煩わしくなってきます。
  • rawシーケンスを読み込みます。読み込み時に表示されるCamera Raw画面が、Lightroomで現像した設定(xmpファイル)の通りになっているので、追加の調整は不要です。
  • 取り込んだ画像は一番高画質なApple ProRes 4444 *2 で書き出し、動画素材として使用します。

Premiereでは変換しない。

  • Premiereも連番ファイルの読み込みを使った動画の作成に対応していますが、rawシーケンスの直接取り込みには対応していません。jpgやpngに書き出す必要があります。
  • 残念ながらPremiereは静止画に埋め込まれたカラープロファイルを読まないので取り込み時に色がかな〜り変わります *3
  • 最初から最後までAfterEffectsでやってもよいのですが、(私の場合は)購入したプラグインや慣れの関係などで、その後の編集はPremiereで行なっています。

*1:タイムラプス動画の作成などが思い浮かびますが、Raw Burst撮影からの動画作成を想定しています。

*2:h.264と比較しても明らかに高画質です。

*3:以前検証しました。

PowerShot G7 X Mark IIIのコントラスト設定と白とび・黒つぶれ

PowerShot G7 X Mark IIIの動画のコントラスト設定を試してみました。

いろんなパターンでたくさん撮影しましたが、白とび・黒つぶれはほぼ発生しませんでした。拍子抜けです。

結論としては、

  • 白とび・黒つぶれ防止を目的にコントラストを操作する必要はない。
  • ちょっとやそっと設定をいじっても、白とび・黒つぶれは発生しない。
  • 表現としてどうしたいかで設定値を決めるのがよい。

です。

詳細は割愛しますが、要点のみ。

◎ベースとなるピクチャースタイルは「ニュートラル」です *1


コントラストテスト|コントラスト最小値コントラスト-4(最小値)では、ハイエストライト側・ローエストシャドウ側双方にかなり階調の余裕があります。(Pana機でいうところの)「輝度レベル:16-235」「マスターペデスタル:+15」のように使えそうです *2 。余裕ありすぎでもったいないくらいです。


コントラストテスト|アンダーで撮影 ↑ ちなみに、撮影時に1EV暗くしても暗部は潰れませんでした。びっくりです。


コントラストテスト|コントラスト最大値コントラスト+4(最大値)でやっと白とびが発生します。が、↓

コントラストテスト|アンダー撮影を+補正 ↑ 編集時に露出を0.1EV下げるだけで輝度レンジ内に収まりました。シャドウ側も収まっています。


設定値としては、

  • 高輝度側・諧調優先:オン 上記の撮影はどれもオンです。ただ、オフで撮影しても白とびは特に発生しませんでした。現時点では「おまじない」に近いと感じています。
  • オートライティング・オプティマイザ:オフ シャドウ部が潰れることはまずないとわかったので使わないでおきます。また、暗部の補正(ゲインアップ)ならば編集時にやっても同じはずなので。

  • 肝心のコントラストの数値は決めかねています。しばらく±0で撮影を続けてみることにします。


*1:

*2:

PowerShot G7 X Mark IIIのピクチャースタイルの選択

PowerShot G7 X Mark IIIのホワイトバランスの微調整 *1 を行なった後、ピクチャースタイルの選択をします。

ピクチャースタイル毎に色(色相)が異なるのは、つい最近まで気づいていませんでした。コントラスト・彩度・シャープネスが異なるだけで、色相の味付け(いわゆる「絵作り」)をスタイル毎にしているとは思ってもいませんでした *2

ピクチャースタイル毎の空の色

  • ピクチャースタイルを変更しながら、青空を動画撮影します。
  • フレームを切り出し、Photoshopで色相を調べます。

空の色は色相216°で表現するのが基本だと考えています。色転びのない、純粋な青です。カラープリントのように緑に転ぶのだけは避けたい。青紫に転ぶのは、リバーサルフィルムっぽいのでまあ受け入れます。

色相が216°に近く、緑色側に転んでいないのは「風景」と「ニュートラル」でした *3 。彩度は異なりますが、どちらも218°です。測定位置によっては216°のエリアもありました。

コントラスト・彩度・シャープネスは後で調整するので一旦無視し、空の色相優先で「ニュートラル」を基本の設定とします。

ピクチャースタイル「ニュートラル」


*1:

*2:例えば、「ポートレート(Portrait)」などのスタイルは肌色が(キヤノンの考える)好印象になるように微妙に色相を調整していると思われます。肌色に関しては、「色あい」パラメータで調整が可能です。

*3:スタイル「忠実設定(Faithful)」の空の色が緑色に転んでいるのは納得いきません。

PowerShot G7 X Mark IIIのホワイトバランスの微調整

やっと晴れたので、PowerShot G7 X Mark IIIのホワイトバランスの調整を行いました。

PowerShot G7 X Mark III ホワイトバランスの調整

  • 窓際の直射日光下でグレーカードを撮影します。
  • ホワイトバランス設定は「太陽光」。
  • 「WB補正(ホワイトバランス補正)」を少しずつ変更しながら撮影します。B(Blue)方向とM(Magenta)方向で9パターンほど撮影しました。
  • カラープロファイルの影響をさけるために、静止画でなく、動画形式で撮影しています。
  • 撮影した動画をPremiereに取り込み、「フレームを書き出し」します。
  • 書き出したフレームをPhotoshopで開き、「情報」ウィンドウで数値を確認します。
  • B2,0(Blue方向に2目盛り、G/M方向の調整は0)の設定で彩度(HSBの「S」)が0%になりました。

さすがキヤノン。追加調整幅が細かいので、彩度を0%になるまで追い込むことができました。オリンパスでは彩度2%が限界 *1 でした。

「B2,0」補正の太陽光を撮影時の基準にすることとします。


*1:

「色あい」ってなんだ? 「色相」ってなんだ?

デジカメには撮影用に「色調の設定セット」が用意されています。「スタンダード」「ビビッド」「ソフト」とかのことです。

名称(総称)はメーカーごとに異なり、Canonは「ピクチャースタイル」、Panasonicは「フォトスタイル」、Olympus *1 は「ピクチャーモード」です。

用意された設定をチューニングする際、シャープネスやコントラスト、彩度など、各社共通のパラメータもありますが、メーカー独自の設定項目もあります。例えば、

これらはいったいどんなパラメータなのでしょう。ホワイトバランスの追加調整にも似ていますが異なるようです。調べてみました。

テスト撮影した動画から画像を切り出しています。

Canon ピクチャースタイル設定項目「色あい」

取扱説明書によると、

肌の色あいを調整できます。数字が小さいほど赤めに、数字が大きいほど黄色寄りになります。

とあります。

G7 X Mark III ピクチャースタイル「色あい」-4 ↑ 色あい:-4(最低値)

G7 X Mark III ピクチャースタイル「色あい」±0 ↑ 色あい:±0

G7 X Mark III ピクチャースタイル「色あい」+4 ↑ 色あい:+4(最高値)

Panasonic フォトスタイル設定項目「色相」

取扱説明書によると、

⊕ 赤を基準とした場合、紫/マゼンダ方向に色相を回転させ、全体の色合いを調整します。

⊖ 赤を基準とした場合、黄色/緑方向に色相を回転させ、全体の色合いを調整します。

とあります。

DC-GH5 フォトスタイル「色相」+5 ↑ 色相:+5(最高値)

DC-GH5 フォトスタイル「色相」±0 ↑ 色相:±0

DC-GH5 フォトスタイル「色相」-5 ↑ 色相:-5(最低値)

測定値と結論

画像内の色見本(の基本6色相の部分)や肌色(かばくんの顔)の数値を調べてみました。

「色合い」「色相」

  • Canonの「色あい」は説明書通り、黄色〜赤の色相をシフトしています。補色である青紫の色相にはほとんど影響がありません。
  • Panasonicの「色相」は、全ての色相をシフトしています(色相ごとのシフト量のばらつきはあるようです)。

Canonは肌色のチューニングに特化した設定 *2Panasonicは汎用チューニングの設定のようです。


*1:Olympusのデジカメには色相をチューニングするパラメータはありませんでした。

*2:Canonのデジカメで汎用の色相チューニングを行う場合は、PictureStyleEditorを使って、オリジナルのピクチャースタイルを作成する必要があります。