coluli

安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

Fujifilm X-T100の購入

2019年の年末、AmazonのタイムセールでFujifilmのX-T100のレンズキットを購入しました *1

Fujifilm X-T100

なぜか不人気(たぶん)のエントリーモデルですが、私にとってはとても高性能なカメラです。非常に満足しています。

  • 普段はマイクロフォーサーズをメインに使っているので、久しぶりにAPS-Cセンサー機 *2 を購入でき、とてもうれしいです。センサー面積倍です。
  • 今まで所有したカメラで最も高画素な、2424万画素です。m4/3は最大でも2177万画素なので、2400万画素がもはや最小になってしまったAPS-Cに比べ、だいぶ差をつけられてしまいました。
  • 14bitのrawで撮影できます。動画を撮るようになってから、階調のbit数が気になるようになりました。大半 *3 のm4/3のrawは12bitです。
  • m4/3同様、電子シャッターが使えます。無音・無振動で撮影できるのはミラーレスの大きな利点だと思います。
  • カメラ本体の重さは399g。付属の標準ズームもプラスチックマウントの軽量なものです。首から下げても重くありません。動画メイン機のGH5よりもずっとずっと軽量です。
  • 23mm相当始まりのレンズです。他社の標準ズームよりも1mm広角側 *4 、というのはなかなか気が利いていると思います。
  • F3.5-F5.6の凡庸な明るさのレンズですが、実はm4/3のF2.8-F4.0と同じボケ量です。

褒めれば褒めるほど、m4/3の存在価値が揺らいできます。

  • 動作がもっさり、AFが弱い、などと酷評されていますが、さほどそのようには感じません。野鳥やモータースポーツを撮るわけではないので。
  • ただ確かに、レリーズを半押ししても正しく合焦しない時があります。AF測距点は中央一点のみにしてみました。
  • センサーは通常のベイヤー式、ローパスフィルターありです。X-Transセンサーにはあまり興味はありませんが、ローパスレスでないのはちょっと残念でした。
  • EVFは236万ドットです。見え味はまあ普通 *5 です。EVFがついていることが重要です。
  • 4K動画は撮れません。15fpsで撮れるのですが、これを「4Kが撮れる」とは言いたくない。静止画専用機として使います。
  • 今時のカメラ・レンズなので、補正情報はrawファイルに埋め込まれています。収差を意識することはほとんどありません。

使い込むにあたり、追加のお金はかけないことにしました。中国製のフードのみ付けています。バッテリーの持ちが(ミラーレスにしては)よい、ということなので予備の電池も買わずにがんばってみます。

静止画撮影のメイン機にします。


*1:標準ズーム付属でなんと税込44,800円でした。

*2:GH5を購入するときに、手持ちのAPS-C機はすべて処分してしまいました。

*3:唯一、PanasonicのDC-GH5Sが14bitのようです。

*4:正確には換算22.5mmとなります。他社よりも1.5mm広いです。

*5:フィルムシミュレーションの設定を「PRO Neg.Std」などにするとEVFがたいへん見やすくなります。

PowerShot G7 X Mark IIIで5K raw動画

PowerShot G7 X Mark IIIで5K raw動画の撮影を行っています。

わずかながらサンプルができてきたので公開してみました。

  • せっかくなのでオリジナル幅いっぱいの5K動画にしてみました。5470px × 2328pxのシネスコ(2.35:1)比率です。
  • 撮影時は30fpsですが、やや速度を落とし、24fpsにしています。
  • 音声はありません。

以下のように作成しています。


バースト撮影

  • カメラの電源を入れた後[RAWバーストモード:する]に設定変更します。
  • 電源を切ると設定がリセットされてしまうので、毎回行う必要があります。
  • スリープではリセットされないので、撮影一回(1日)につき一度設定することになります。
  • 30fpsのraw高速連写で無音の動画(素材)撮影を行います。
  • バッファ(一度に撮れる枚数)は公式には70枚となっていますが、もっとたくさん撮れる時もあります。99枚連続で撮影できたこともあります。

撮影ファイルの分割

  • バースト撮影したデータは独自形式で1ファイルにまとめられています。
  • そのままではLightroomなどの現像ソフトに持ち込めないので、Canon謹製の「Digital Photo Professional」を使い、分割します。

  • 一枚一枚手作業で分割します(^^;)。一括で行う方法はまだ見つけていません。

動画ファイルへ変換

現像はLightroom、動画ファイルへの変換はAfter Effectsを使っています。

編集

  • 編集はPremiereを使っています。
  • ソフトウェアスタビライズと簡単な色編集を行い、書き出します。
  • 撮影スピードは一律30fpsのはずですが、撮影ごとにわずかに遅くなったり速くなったりしている気がします。撮影に負荷を与えそうなカメラの設定はすべてオフにしました。
  • 撮影時にカメラの手ブレ補正機能を使うと動画にした際にくにゃりくにゃりとゆがむようです。今後はオフで撮影することにします。
  • Premiereのワープスタビライザーは「位置」のみ適用するのが良さそうです。拡大サイズも「固定」で。「回転・遠近」は画面のゆがみ・ゆらぎにつながるようです。
  • 撮影はすべて手持ちですが、ソフトウェアスタビライズで「固定」するのはちょっと無理がありました。使えるのは「動きをなめらかにする」まででしょう。
  • Premiere上でのカラー編集は、濃度調整やコントラスト調整程度です。
  • raw撮影なのでカラーグレーディングの制約がほぼ完全になくなってしまいました。きれいでもきれいでなくてもすべて自己責任(自身のセンス)です。

PowerShot G7 X Mark III|Raw動画の解像

Canon PowerShot G7X Mark IIIの動画テストを続けています。

ですがこちらの機種、4K動画の撮影のために購入したわけではありません *1 。それなりに機能が充実しているのでもちろん使うつもりですが、「4K動画撮影のためのコンデジ」であれば、おそらくSonyのRX100シリーズの方がよいと思います。

こちらの機種は「Rawバーストモード」を使ってRaw動画を撮影するのを目的に購入しました *2 。1ショットあたり3秒弱の音声なしの5KのRaw動画が撮影できます。通常のmp4の4Kに比べ、かな〜り高画質な動画が撮れるのです。

解像力比較のためのテスト撮影をしてみました *3

使っているのは同じカメラですが、Raw動画の方が明らかに高画質です。

理由(違い)はいくつかあります。

記録画素数

  • 4K動画モードは幅3840px(4K)、Rawバーストモードでは幅5472px(5K)です。

サイズを揃えるためににRawバーストの方は縮小 *4 して配置しています。

センサー読み出し方式

  • 4K動画モードはピクセルビニングあり(間引き読み出し)、Rawバーストモードは全画素読み出しです。

「カメラ本来の画角で4K撮影」できる機種はだいぶ増えてきましたが、「センサーの全画素を読み出し、リサンプルして4K動画を生成」する機種はまだまだ少ないです。民生品ではSonyFujifilmの一部機種 *5 だけだと思います。間引き4Kと全画素5Kの差はかなり大きいです。

クロマサンプリング

  • 4K動画モードは(たぶん)4:2:0、Rawバーストモードは4:4:4です。

データ節約のため、大半の動画ファイルは色差の解像を粗くしています *6 。輝度の情報量は変わらないので、見かけ上は高解像ですが、実は色のにじみが発生しています。4:2:0と4:4:4とでは、色の解像力は4倍の差があります。


解像に関する差はこんな感じです。さらに、動きやトーンに関する違いとしては、

ビットレート

  • 4K動画モードは120Mbps、Rawバーストモードは収録データ量を単位時間で割ると3000Mbps(!)です。

ファイル形式

  • 4K動画モードはLong GOP(動きの差分以外を兼用することで圧縮)、RawバーストモードはAll Intra(全フレームを独立して保持)です。

上のテスト動画ではわかりませんが、動きの激しいものを撮影するとてきめんに違いが出ます。

階調

  • 4K動画モードは8bit、Rawバーストモードは14bit *7 です。

階調やラチチュードに大きな差があります。グレーディング時の自由度に明らかな差が出ます。


こんな風に書き出しているときちんとしたRaw動画対応カメラが欲しくなってきます。Sigmaのfp、Blackmagic DesignのPocket Cinema Camera 4Kなど *8 です。 ですが、いつでも持ち歩ける「コンデジサイズ」であることが重要なので、ここは我慢します。


*1:かなり無理をしているようで、過熱による停止もけっこうあります。いざ撮影しようとすると受け付けなかったりするので、停まる前に表示の出る/表示の出た後もしばらく使えるSony機よりも使い勝手が悪いです。

*2:

*3:4Kではありませんが、海外の方が作成したこちらの動画もどうぞ。

*4:撮影時に設定を間違えてしまい、画角を揃えるためにRawバーストの方は若干クロップしています。その分不利なのですが、それでもこの画質差です。

*5:「(高画素の)デジカメ」でなく、「(ハンディカムなどの)ビデオカメラ」であれば、センサーの画素数を元から最適化しているので間引きなし、偽色やモアレは発生しないと思います。

*6:「クロマサンプリング」や「4:2:0」などでググると有益なサイトが出てきます。

*7:仕様表では「14bit Raw」となっていますが、バーストモードのRawはファイルサイズが明らかに小さいので、おそらく11〜13bitだと思います

*8:4Kになる前のbmpccやMagic Lanternを入れたEOSなどでもraw動画を楽しめますが、4Kではありません。

PowerShot G7 X Mark IIIのシャープネス設定

PowerShot G7 X Mark IIIの4K動画撮影時のシャープネス設定を検証してみました。

  • Olympus機やPanasonic機に比べ、G7 X Mark IIIはシャープネス設定の幅が広く、最低値の0にするとシャープネスはほとんどかかりません。 
  • PC(iMac 5K)で閲覧する限りでは、シャープネス設定が0でも解像の不足は特に感じません。また、シャープネスをうまくかけたとしても解像「感」がでるだけで、解像力がアップするわけでありません。
  • 逆に、シャープネス設定を上げすぎると「リンギング(輪郭強調)」が目立ってきます。アンテナや電線の周りに白い輪郭が現れてきます。

撮影時の設定は、シャープネス:0がよさそうです。シャープ感が欲しい場合は編集時に追加することとします。


  • 編集時に追加するPremiereの「シャープ」の数値に関しては、25〜50かな、と考えています。かけないかもしれません。
  • 「アンシャープマスク」も試してみましたが、ちょうど良い数値がどうも見つかりません。今回は「適用量:100、半径:1.5、しきい値:0」としています *1
  • ただ、「アンシャープマスク」を追加すると、書き出し時の演算時間がえらくかかります。

*1:私がふだん静止画のraw現像にLightroomで適用しているシャープネスの数値は「適用量:50、半径:0.5、ディティール:25、マスク:0」です。

好みの階調/目指す階調 4

また、目標にしたい動画を見つけました。

映画「ダークナイト」の冒頭シーンです。

私の考える「フィルムっぽい感じ」がまさしくこれです *1

トーンを調べてみました。


ヒストグラムをキャプチャーするのは効率が悪いので、眺めて傾向を箇条書きにします。

  • 空(の階調)は飛んでいない。
  • 空が写っていないシーンで一番明るいのは204(/256)程度。
  • 大半の階調は、輝度10段階のうちの6段階程度の範囲(例:0-153)に収まっている。
  • 黒はほんのわずかに潰れている。
  • 最暗部の階調(最後の粘り)豊か。

また、「自動補正」した際の補正量で、絵作りの傾向がわかります。

  • 全体はややアンダー(約1/2EV)。
  • コントラストをわずかに柔らかくしている(約-5)。
  • が、シャドウをかなり締めている(約-50)ので高コントラストな印象。

  • ホワイトバランスはほぼニュートラル。

  • 輝度ごとの色相のずらしはあまりやってないっぽい *2

191212|追記 一応ヒストグラムを載せておきます。

00.10.08|路上に佇むジョーカーの後ろ姿 ↑ 屋外のシーンでは階調をフルに活用しています。黒がわずかに潰れています。

00.31.21|ビルを渡る二人 ↑204以下、153以下に収められた階調。

01.29.15|屋上の二人 ↑ 空以外は102以下に収められた階調。

02.46.09|銀行の中で首をかしげるジョーカー ↑ 大半の階調を102以下に収めつつ、明るい日差しは255まで利用。


*1:改めて調べてみたところ、ノーラン監督はフィルムで撮る人でした。特にこのシーンはブローニーのように大きいフィルムサイズのIMAX方式で撮影しているとのこと。

*2:Prime Videoで映画本編を観たら、ありがちな緑色に調色されていました。こちらのYouTubeは最終グレーディング前なのかもしれません。

rawシーケンスから動画を作成する

rawシーケンス(連番ファイル)から動画を作成する *1 際の勘所についてメモしておきます。自身の備忘録となります。

現像は1枚だけ。1回だけ。

  • 現像は使い慣れたLightroomを使用します。
  • Lightroomでシーケンスの最初の一枚のみ現像します。全画像現像する必要はありません。「設定の同期」なども必要ありません。
  • 意図通りに現像したら「メタデータをファイルに保存」します(S)。rawファイルの隣に.xmpファイル(現像設定の一式)が作成されます。
  • 画像の書き出しは行いません。

AfterEffectsで変換する。

  • 動画ファイルへの変換は、AfterEffectsを使用します。
  • あらかじめ環境設定で 読み込み設定シーケンスフッテージ を普段自分が使うフレームレート(例:29.97fps)にしておきます。コンポジションごとに都度設定も可能ですが、量をこなすとだんだん煩わしくなってきます。
  • rawシーケンスを読み込みます。読み込み時に表示されるCamera Raw画面が、Lightroomで現像した設定(xmpファイル)の通りになっているので、追加の調整は不要です。
  • 取り込んだ画像は一番高画質なApple ProRes 4444 *2 で書き出し、動画素材として使用します。

Premiereでは変換しない。

  • Premiereも連番ファイルの読み込みを使った動画の作成に対応していますが、rawシーケンスの直接取り込みには対応していません。jpgやpngに書き出す必要があります。
  • 残念ながらPremiereは静止画に埋め込まれたカラープロファイルを読まないので取り込み時に色がかな〜り変わります *3
  • 最初から最後までAfterEffectsでやってもよいのですが、(私の場合は)購入したプラグインや慣れの関係などで、その後の編集はPremiereで行なっています。

*1:タイムラプス動画の作成などが思い浮かびますが、Raw Burst撮影からの動画作成を想定しています。

*2:h.264と比較しても明らかに高画質です。

*3:以前検証しました。

PowerShot G7 X Mark IIIのコントラスト設定と白とび・黒つぶれ

PowerShot G7 X Mark IIIの動画のコントラスト設定を試してみました。

いろんなパターンでたくさん撮影しましたが、白とび・黒つぶれはほぼ発生しませんでした。拍子抜けです。

結論としては、

  • 白とび・黒つぶれ防止を目的にコントラストを操作する必要はない。
  • ちょっとやそっと設定をいじっても、白とび・黒つぶれは発生しない。
  • 表現としてどうしたいかで設定値を決めるのがよい。

です。

詳細は割愛しますが、要点のみ。

◎ベースとなるピクチャースタイルは「ニュートラル」です *1


コントラストテスト|コントラスト最小値コントラスト-4(最小値)では、ハイエストライト側・ローエストシャドウ側双方にかなり階調の余裕があります。(Pana機でいうところの)「輝度レベル:16-235」「マスターペデスタル:+15」のように使えそうです *2 。余裕ありすぎでもったいないくらいです。


コントラストテスト|アンダーで撮影 ↑ ちなみに、撮影時に1EV暗くしても暗部は潰れませんでした。びっくりです。


コントラストテスト|コントラスト最大値コントラスト+4(最大値)でやっと白とびが発生します。が、↓

コントラストテスト|アンダー撮影を+補正 ↑ 編集時に露出を0.1EV下げるだけで輝度レンジ内に収まりました。シャドウ側も収まっています。


設定値としては、

  • 高輝度側・諧調優先:オン 上記の撮影はどれもオンです。ただ、オフで撮影しても白とびは特に発生しませんでした。現時点では「おまじない」に近いと感じています。
  • オートライティング・オプティマイザ:オフ シャドウ部が潰れることはまずないとわかったので使わないでおきます。また、暗部の補正(ゲインアップ)ならば編集時にやっても同じはずなので。

  • 肝心のコントラストの数値は決めかねています。しばらく±0で撮影を続けてみることにします。


*1:

*2: