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安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

PowerShot G7 X Mark III|Raw動画の解像

Canon PowerShot G7X Mark IIIの動画テストを続けています。

ですがこちらの機種、4K動画の撮影のために購入したわけではありません *1 。それなりに機能が充実しているのでもちろん使うつもりですが、「4K動画撮影のためのコンデジ」であれば、おそらくSonyのRX100シリーズの方がよいと思います。

こちらの機種は「Rawバーストモード」を使ってRaw動画を撮影するのを目的に購入しました *2 。1ショットあたり3秒弱の音声なしの5KのRaw動画が撮影できます。通常のmp4の4Kに比べ、かな〜り高画質な動画が撮れるのです。

解像力比較のためのテスト撮影をしてみました *3

使っているのは同じカメラですが、Raw動画の方が明らかに高画質です。

理由(違い)はいくつかあります。

記録画素数

  • 4K動画モードは幅3840px(4K)、Rawバーストモードでは幅5472px(5K)です。

サイズを揃えるためににRawバーストの方は縮小 *4 して配置しています。

センサー読み出し方式

  • 4K動画モードはピクセルビニングあり(間引き読み出し)、Rawバーストモードは全画素読み出しです。

「カメラ本来の画角で4K撮影」できる機種はだいぶ増えてきましたが、「センサーの全画素を読み出し、リサンプルして4K動画を生成」する機種はまだまだ少ないです。民生品ではSonyFujifilmの一部機種 *5 だけだと思います。間引き4Kと全画素5Kの差はかなり大きいです。

クロマサンプリング

  • 4K動画モードは(たぶん)4:2:0、Rawバーストモードは4:4:4です。

データ節約のため、大半の動画ファイルは色差の解像を粗くしています *6 。輝度の情報量は変わらないので、見かけ上は高解像ですが、実は色のにじみが発生しています。4:2:0と4:4:4とでは、色の解像力は4倍の差があります。


解像に関する差はこんな感じです。さらに、動きやトーンに関する違いとしては、

ビットレート

  • 4K動画モードは120Mbps、Rawバーストモードは収録データ量を単位時間で割ると3000Mbps(!)です。

ファイル形式

  • 4K動画モードはLong GOP(動きの差分以外を兼用することで圧縮)、RawバーストモードはAll Intra(全フレームを独立して保持)です。

上のテスト動画ではわかりませんが、動きの激しいものを撮影するとてきめんに違いが出ます。

階調

  • 4K動画モードは8bit、Rawバーストモードは14bit *7 です。

階調やラチチュードに大きな差があります。グレーディング時の自由度に明らかな差が出ます。


こんな風に書き出しているときちんとしたRaw動画対応カメラが欲しくなってきます。Sigmaのfp、Blackmagic DesignのPocket Cinema Camera 4Kなど *8 です。 ですが、いつでも持ち歩ける「コンデジサイズ」であることが重要なので、ここは我慢します。


*1:かなり無理をしているようで、過熱による停止もけっこうあります。いざ撮影しようとすると受け付けなかったりするので、停まる前に表示の出る/表示の出た後もしばらく使えるSony機よりも使い勝手が悪いです。

*2:

*3:4Kではありませんが、海外の方が作成したこちらの動画もどうぞ。

*4:撮影時に設定を間違えてしまい、画角を揃えるためにRawバーストの方は若干クロップしています。その分不利なのですが、それでもこの画質差です。

*5:「(高画素の)デジカメ」でなく、「(ハンディカムなどの)ビデオカメラ」であれば、センサーの画素数を元から最適化しているので間引きなし、偽色やモアレは発生しないと思います。

*6:「クロマサンプリング」や「4:2:0」などでググると有益なサイトが出てきます。

*7:仕様表では「14bit Raw」となっていますが、バーストモードのRawはファイルサイズが明らかに小さいので、おそらく11〜13bitだと思います

*8:4Kになる前のbmpccやMagic Lanternを入れたEOSなどでもraw動画を楽しめますが、4Kではありません。