coluli

安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

「ハイライト・シャドウ」と「階調:オート」

前回の撮影では青空が気持ち悪い印象になってしまいました。

coluli.hatenablog.com

原因を見つけるべく再テストをしてみました。動画による撮影は大変なので、今回はちょっとズルをして静止画(撮って出しjpg)による検証です。

階調:標準/ハイライトシャドウ0_P2240045

  • ピクチャーモード: Vivid
  • 階調:標準
  • ハイライト・シャドウ:±0

「Vivid」特有の強いコントラストですが、階調の辻褄は合っています。彩度は-1にしています。

階調:標準/ハイライトシャドウ7_P2240052

  • ピクチャーモード: Vivid
  • 階調:標準
  • ハイライト:-7
  • シャドウ:+7

「ハイライト・シャドウ」を補正最大値まで変更したところ、こってり・ぼんやりした、独特の違和感のある画像になりました。

青空の輝度には変化がありません。数値を調べてみたところ、青空の輝度はミドル域(148)なので、「ハイライト・シャドウ」の設定変更には影響を受けていないのでした。 大きく変わっているのは建物の壁です。明るい(193)壁の色が、かなり濃く(161)なっていました。 前回の動画の違和感の原因*1は青空ではなく、(青空の輝度に近づいた)周りの建物などの明るさの変化でした。

濃度比較

256階調の中の具体的なモチーフ

「ハイライト・シャドウ」の最大補正値の[7]ではやはり無理があるようです。YouTubeのサンプルをみても、逆光撮影に使われている変更値は、せいぜい[5]までです。

階調:オート/ハイライトシャドウ0_P2240044

ピクチャーモード: Vivid 階調:オート ハイライト・シャドウ:±0

一方、「階調:オート」による補正は、「Vivid」の強いコントラストが緩和され、自然な見えになっています。 露出もやや明るくなり、空の色も自然な印象です。「ハイライト・シャドウ」との併用でなければ、有効に機能するように思えます。


「ハイライト・シャドウ」の大幅な数値変更は一旦やめにして、「階調:オート」をベースに検証を続けようと思います。


*1:飽和寸前のハイエストライトの色転びについては前回説明の通りです。

Adobeの5ゾーン

Adobeソフトの階調補正についての備忘録です。独り言に近い内容です。

256階調グレースケール

5つのゾーン

Adobeの5ゾーン

  • Adobeのソフト(PhotoshopLightroom、Premiereなど)は、階調補正をやりやすいように、5つの輝度域に分けてパラメータを用意しています。
  • 黒レベル、シャドウ、露出(=ミドル)、ハイライト、白レベルの5つです。
  • 256階調の、0-24|25-84|85-170|171-230|231-255に分かれています。
  • 各パラメータはスライダで操作しますが、ヒストグラムをぐりぐり動かしても機能します
  • 各パラメータを変更すると、階調の破綻が起きないように、隣(含む全ての)の輝度域にもそれなりに影響します。

(はい、以上です。ここから下は限りなく独り言です)

コントラスト

  • コントラストを上げる」とは、ミドル域にたくさん階調をあてがうことを意味します。
  • コントラストを上げる」とは、黒レベル〜シャドウ、ハイライト〜白レベルの輝度域を少ない階調で済ますことを意味します。
  • コントラストを下げる」とは、各輝度域をミドルの階調に寄せる(圧縮する)ことを意味します。
  • コントラストを下げる」とは、黒レベル〜シャドウ、ハイライト〜白レベルの輝度域に多くの階調をあてがうことを意味します。

露出

190528|追記

  • 「露出」という名称は誤解をまねくと思います。ここを操作しても白レベル・黒レベルへの影響は少ないのです。
  • Davich Resolveでは「ガンマ」というパラメータがあります。名称としてはわかりづらいですが、こちらの方がより近いと思います。
  • どちらかというと、Davich Resolveの「オフセット」が本来の「露出」に近いと思います。スライドさせると、ヒストグラムがそのままの形で横に動きます。

実際の利用

白レベル・黒レベル:50/コントラスト+50

  • 白飛びを抑えるためには白レベルを下げると便利です。ミドル〜シャドウへの影響が少ないです。
  • 黒つぶれを抑えるためには黒レベルを上げると便利です。ミドル〜ハイライトへの影響が少ないです。
  • 白飛び防止、黒つぶれ防止ための上記の処理は、「コントラストを上げる」操作と両立します。相殺されません
  • 他にも、一見、相殺されそうな操作(例:白レベルを下げつつハイライトを上げる)を行うと、特定の輝度域の階調が増減します。
  • やりすぎると気持ち悪くなります。

その他

  • 青空はミドル域(150前後)です。ハイライトやシャドウの操作には影響されません。
  • 日本人の肌色はハイライト域(180前後)です。ハイライトの操作に大きく影響されます。

好みの階調/目指す階調

カメラの故障でピクチャーモードの比較撮影が中断しています。

せっかくなので、好みの画質のYouTube動画を確認しながら、どんな風な画質にして行きたいか、を考えてみました。


[4k] NOKTON 4Lenses with GH4

基本は「撮って出し」、グレーディング無しで使える綺麗な画質を目指しています。 彩度もあまり落としたくありません。 log収録をしないとなると、白飛び・黒潰れのどちらかはある程度割り切って許容しなければなりません。

こちらの動画は何度見ても *1 綺麗です。GH4のCineLikeDをベースに、彩度やハイライト・シャドウを調整していると思われます。意外とデフォルトに近いかもしれません。

[4k]  NOKTON 4Lenses with GH4-01

[4k]  NOKTON 4Lenses with GH4-02


Canon Log 3 適正露出/2トップオーバー【キヤノン公式】

log収録には当分手を出さないつもり(そもそも対応カメラを所有していない)ですが、「logの撮って出し」の柔らかな映像は気になります。 業界の人間ではないので、流行りが終わったかどうか(そもそも流行ったのか?)はわかりませんが、ある意味「枯れたスタンダード表現」として残るように思います。

ところで、2段オーバーで撮影する必要はあるのでしょうか。適正露出で撮影して、後から肌色に合わせて露出を補正すればいいと思うのですが。

Canon Log 3  適正露出/2トップオーバー【キヤノン公式】


[NEW] Panasonic LUMIX GH5S 4K

メーカー公式の動画はカメラ性能をスポイルする表現は避けられていると思うので、「高画質」な動画として参考になります。

けっこう狭いレンジ(輝度幅)で表現しているのですね。

[NEW] Panasonic LUMIX GH5S 4K


Panasonic LUMIX GH5S | Hands-On Field Test in Slovenia

こちらも参考になります。「あ〜、これこれ。こんなトーンで撮影してみたい」というカットが何箇所か出てきます。

Panasonic LUMIX GH5S | Hands-On Field Test in Slovenia


Taylor Swift - Shake It Off

ホワイトバランスもニュートラルで「高画質!」な感じです。ハイエストライトから完全な黒まで、トーンをフル活用している印象があります。

アメリカのショウビズ職人が、淡々とプロフェッショナルに作成した感じ。演出含め、すごく醒めた、ビジネスライクな印象のMVです。

Taylor Swift - Shake It Off


10 Cloverfield Lane Official Trailer #1 (2016) - Mary Elizabeth Winstead, John Goodman Movie HD

「カラーグレーディングのためのカラーグレーディング」は鼻につくので大嫌いなのですが、ハリウッド映画は大体きちんとしています。 ミックス光の色転びを強調する形での、「根拠のある」色付けなので、鑑賞中に変に意識することもありません。

全編ほぼ地下室ですが、カラフルな印象があります。壁紙のセレクトのセンスとかでしょうか。

10 Cloverfield Lane Official Trailer #1 (2016) -  Mary Elizabeth Winstead, John Goodman Movie HD


*1:

Olympus E-M10 Mark III ピクチャーモード比較 05

設定もだいぶ練れてきたので、ピクチャーモード比較の初回の場所で再度撮影をしてみました。

主な設定値は、

  • 階調:オート
  • ハイライト:-7
  • シャドウ:+3
  • 彩度:-1
  • ホワイトバランス:昼光(G:-1)

です。

あれ? なんか空の色が変です。なんか、すごくキモいです……。

ハイライトの白飛び回避を目的に、[ハイライト]を最小値の-7にし、さらに[階調]をオートで整えた結果、空(ハイライト)がえらく不自然になってしまいました。

設定変更後の「青空」の映像は今回初めて見ることになります。初回の撮影以降、撮影時の天候はずっと「曇り」だったので、この不自然さに気づきませんでした。

「ハイライト:-7」の設定値に問題があったのか、[階調:オート]に問題があったのか、あるいはそれらの併用が問題なのか、改めて個別にテストする必要があります。

かなりの後退です。まだまだ道のりは遠いようです。

迂闊でした。とほほ……。


冷静になって考えれば、ハイライトを抑えればハイライトは暗くなりますし、色が付いていれば濃度は上がるに決まっています。

また、センサーの受光量には限界があり、一定以上の光量はさばききれず、飽和するに決まっています。完全に飽和してしまえば「白(飛び)」ですが、中途半端な飽和は色転びになるのは以前行ったセンサーのテストでわかっていたはずでした。

_1010013

露出オーバーで撮影し、raw現像時に減感(ゲイン「ダウン」)した際は、完全に飽和した部分はグレー、中途半端に飽和した部分はシアンに転びました。 今回の青空の転び方によく似ています。

Olympus E-M10 Mark III ピクチャーモード比較 04

検証した「階調:オート」の設定が役立ちそうなので、屋外でテスト撮影をしてみました。

2回目の屋外でのテスト撮影からの変更点は、

  • 階調:オート
  • ホワイトバランスは、マゼンダ側に1補正した昼光。

となります。

  • ハイライト:-7
  • シャドウ:+7

は、前回から変わらずです。

悪くないと思います。ただ、天候が曇りだったので、「階調:オート」はさほど影響していないかもしれません。

ピクチャーモード「Natural」だけを選んで、Premiere CCにて補正したものも掲載しておきます。

徐々に好みの方向に近づいていますが、もう一声、ブレイクスルーが欲しいところです。

Olympus E-M10 Mark III ピクチャーモード比較 03

前回のテストでは「ハイライト・シャドウ」の数値を変更して白飛び・黒つぶれを回避しようとしました。

今回は、ピクチャーモード内のパラメーター「階調」の挙動を確認してみました。

階調を「標準」から「オート」に変更すると、輝度差の激しい条件でハイライト部・シャドウ部が抑えられます。

「階調:標準」 vs 「階調:オート」

一見、単に1/3段程度、全体を明るくしているだけのようにも見えますが、シャドウ部を持ち上げつつハイライト部を抑えています。赤丸の個所などに着目するとよくわかります。

以前PanasonicのG7でテストした、「iDレンジコントロール」とほぼ同種の機能ですが、それよりもかなり強めの補正がかかります。

シャドウ部のノイズ発生やハイライトの階調の不自然さなど、若干の不安もありますが、実用になりそうです。

積極的に使ってみようと思います。

Olympus E-M10 Mark III ピクチャーモード比較 02

デフォルトに近い前回の設定では、自分好みの映像にならないので、設定を変更します。

ハイライト・シャドウの数値を変更して、再度テスト撮影をしてみました。

前回と異なる設定は下記のようになります。

  • ハイライト:-7(最大値)
  • シャドウ:+7(最大値)
  • ホワイトバランスをデフォルトの昼光に戻しました。

いくつかのカットは多少自分の好みに近づいてきました。白飛びも減りましたが、前回の撮影と天候が異なるのでまだ何とも言えません。 また、人工物を写し込んだ結果、鮮やかなモチーフでは色飽和が発生していることがわかりました。

同日に撮影したおまけのカットを加え、好みの色調のカットをPremiere CCで色補正してみました。

鮮やかな発色やコントラストの高さなど、ピクチャーモード「Vivid」が自分の好みのようです。ただし、ぬいぐるみのマフラーや交通標識など、色飽和が激しいものについては「Flat」など別のピクチャーモードを使っています。

緑色に転んでいるように感じたので、色温度を若干マゼンダ側に補正しています。