coluli

安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

Macromedia Fireworks 3

メインマシンをmacOSからWindowsにスイッチしました *1

Windowsのいいところのひとつは、とにかく互換性を重視している点です。新しい仕組みにどんどん置き換えていくApple製品とは真逆で、Windowsでは基本技術の切り捨て/置き換えはほとんどありません。なので古いアプリ、古いユーティリティがとりあえず動きます。あるいは超長期の移行期間を用意してくれています。

Macromedia Fireworks 3

20年以上昔に購入した、Macromedia Fireworks 3.0をインストールしてみました。

About.fw

↑ スプラッシュ画面、ではなくアバウト画面です。登録名やシリアル番号は消しています。

FireworksはWebグラフィックデザイン用のアプリです。3.0日本語版は2000年に発売されました。

「Webグラフィック」アプリと謳われてはいましたが、ビットマップ画像とベクター画像を同時に扱える、PhotoshopIllustratorをの基本機能をいいとこ取りしたようなアプリ *2 です。

  • 画像のシンボル化(Photoshopの「スマートオブジェクト」のようなもの)
  • グラフィックシンボルと(継承しつつ編集可能な)インスタンス
  • 文字スタイル・グラフィックスタイル
  • ベクターによるマスク

など、今では常識となっている便利な機能が当初から搭載されていながら動作は軽く、当時の超重かったPhotoshopに比べて非常に生産性の高いツールでした。個人的にとても愛用していました。

バージョンは(途中Adobe買収を経て)CS6まで進みましたが、「Sketch」「Adobe XD」「Figma」など、新世代のWebデザインツールが登場したことで、もともと大きくないシェアもさらに下がり、機能アップデートも行われず、静かに消えていきました。

使ってみると

Windows 11にインストールしました。あっさり起動し、とりあえず使えました。それだけでも驚きです。

  • 最新のデジカメの大きな画像も取りこめます。シンボル化すれば拡大縮小をしても劣化しません。
  • 縮小時のバイキュービックの品質は、他のグラフィックアプリと同等です。
  • ペンツールでなんでも *3 描けます。マスクにすることも。
  • もちろんテキストも入力できます。縦書きも。

ちょっとした作図、あるいはYouTube動画のタイトル画面程度であれば、十分に実用になりそうです。

使ってみる

ベクターグラフィックのマスクの輪郭を(ベクターのまま)簡単にぼかせるなど、ほんの一時期、Photoshopよりも高機能でした。

使い続けられるか

今でも使い続けられるか、あるいはメインのグラフィックアプリとして使えるか、というとさすがにつらいものがあります。

  • インラインで文字入力ができない。
  • アンチエイリアスのかかり具合は「プレビュー」または画像書き出ししないとわからない。

(当時のマシンパワーに合わせた)当時のバージョン *4 ということもあり、そこらへんは軽快さとのトレードオフとなります。でも軽い!*5

  • カラープロファイルに対応していない。

取り込む画像は全てsRGBにしておく必要がありますので、AdobeRGBなどの素材は、結局何かしらの画像編集アプリ(Photoshopなど)で下処理する必要があります。

  • 日本語プロポーショナルに対応していない。

SketchやFigmaのような(メトリクス情報を元にした)日本語プロポーショナルができません。これはちょっと残念です。手動によるカーニング調整はできますが、(もう)やりたくありません。

  • 文字入力に不具合あり。

特定の文字を挿入すると文字化けしたり不要なスペースが発生したりします。これが一番厳しいですね。「“」「”」などの引用符の前後スペースに不具合がありました。「é」などのアキュートも表示できません。ポール・モーリアは「Paul Julien André Mauriat」です。

無理に使わなくても

個人が趣味で使うのであれば、今なら *6 Figmaの「スタータープラン」を無料で使ってもほぼ同等の作業ができます。

また、「Adobe alternative app Windows」などで検索すればサブスクライブ不要で廉価なアプリは多数見つかります。

しかしながら既に所有しており、OS付属の「ペイント」よりはずっと高機能なので、今後もちょっとした作図作成には使用すると思います。

あと、最新のAdobe製品と違って古いTrueTypeフォントなども使えます。

追記

メルカリでStudio MX 2004を購入し、インストールしました。軽快感はさほど変わらず、インライン文字入力もできるようになりました。

ameblo.jp


*1:

*2:Aldus社の「SuperPaint」を源流に持つアプリともいえると思います。

dysdis.hatenablog.com

あまり関係ないけど面白かったので。

*3:ベジェ曲線も描けますが、アンカーポイントを手動で編集すると整数値に配置する事になるので、(「Glyphs」などの)フォント作成アプリの使い勝手に近いかもしれません。

*4:「Studio MX(ver.6)」までのバージョンであれば、アクティベーション不要、シリアル番号だけで使用できます。メルカリやヤフオクで探せば今でも手に入れられます。

*5:軽量なアプリですが「軽さ」のタイミングが異なります。ファイルの保存に意外と時間がかかったりします。実使用ではXDとかの方が「快適」です。

*6:今無料で使えたとしても、アプリの料金体系が変わる事はよくあります。個人的には買い切りアプリがアップデート後にサブスクライブになるのが一番ツラいです。例)FiLMiC Pro