coluli

安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

Photo Yodobashiはシャッキリポン

13_Psディティールを保持 2.0

「ディティールを保持 2.0」で縮小した画像(部分)。レチナ表示であれば、このくらいのシャープネスが一番精細感が出ます。


カメラが好きなので、カメラ系のサイトはよく見ます。海外検証比較サイト、新商品情報サイト、個人blog、個人運営検証blog、カメラ店サイト、など色々あります。

その中で、ヨドバシカメラが運営する「Photo Yodobashi」は頭ひとつ抜きん出た、優れた作例が多数掲載されているサイトです。楽しませてもらっています。

[PY] フォトヨドバシ | ヨドバシカメラ公式オンライン写真マガジン |

作例はどれも *1 高品質で、カメラやレンズへの物欲を強く刺激します。販売促進サイトとして本当によくできていると思います。

何でこんなによく写っているように見えるのでしょうか。

「撮影しているカメラマンがうまいから」

で話を終わらせてもよいのですが、ちょっとだけ調べてみました。

他と同じところ

  • 作例の画像ファイルの色域はどれもsRGBでした。「AdobeRGBとかかな?」と一瞬考えましたがそのようなことはありませんでした。
  • ファイル形式は普通のjpgです。10bitのheicとかを表示できるブラウザはまだない *2 ので、当たり前といえば当たり前です。

他と違うところ

  • ファイル容量はピンポイントで緩急つけていました。確認してみると、大半は500〜800KBの普通の圧縮率ですが、冒頭の1枚目や途中のイチ押し(?)画像が1.5〜2MBくらいあったりします *3 。単なる処理漏れかもしれませんが……。

  • 作例の寸法は一律1920px幅(横位置の場合)で、それを50%の960px幅で掲載しています。ジャストでRetina対応です。レチナディスプレイや表示スケールを200%にしているWindowsで閲覧すると、ブラウザの縮小処理を介さないので極めてしゃっきりと表示されます *4

他社サイトは撮って出し画像をそのまま縮小掲載するなどしているので、ファイルサイズ・寸法は大きくても、やや「もやっ」とした表示になります。

いちばん違うところ

  • 実寸表示を前提とした、適切なシャープネスがかけられているようです。

「シャープ感」のある作例を拡大すると、リンギング(輝度差部分の輪郭強調)が見えます。どの程度意識して運用してるかは不明ですが、レチナ実寸表示に対して0.5px程度(dot by dotに対しては1px)の輪郭強調は、作品のシャープ感向上に大変役に立ちます。これが他社サイトとの差につながっているのだと想像します。

わざわざ後付けでシャープネスを付与しているとも思えませんが、通常のワークフロー *5 で画面表示用に丁寧に最適化すると、だいたい下記のような感じになります。

02_Lrシャープ出力:スクリーン(適用量:標準)

Lightroomからの書きだしなら、シャープ出力「スクリーン(適用量:標準)」を使ってるかもしれません。

12_Psバイキュービック法 - シャープ (縮小)

13_Psディティールを保持 2.0

Photoshopの「画像解像度...」の変更(縮小)時に「バイキュービック法 - シャープ (縮小)」や「ディティールを保持 2.0」を使っているかもしれません。

22_PsWeb用に保存バイキュービック法 (シャープ)

Photoshopの「Web 用に保存 (従来)...」での書きだしなら「バイキュービック法 (シャープ)」を使っているかもしれません。

最終の画像処理をどなたが担当しているかはわからないので、カメラマンや編集者ではなく、単にWebデザイナーの方がひそかに *6 がんばっている、ということも考えられます。

いずれにせよ、現代の「レスポンシブ」表示とは真逆の、画質優先・原寸優先。大変潔い、頑固な *7 サイトです。

_DSF0201_Lr内蔵asitia

私はこんな細やかな作業はできないので、Flickrに登録 *8 した写真を専用タグでembedしています。実表示時での適切なシャープネスはかかりません。また、表示には縮小処理が必ず発生するので、わずかに眠くなります。


*1:ローエンド機や付属ズームレンズの作例もよく写りすぎているのはご愛嬌です。低価格機はモチーフをファミリー向けにするなど「クラス」を撮り分けようとしているのはわかります。

*2:ファイルサイズ大きめのwebp画像のサイトとかはあるのかな?

*3:同じ圧縮率設定でも、内容によってファイル容量は増減します。また、ノイズリダクションの設定でもファイル容量は大きく変わります。

*4:ブラウザに依存します。また、(表示サイズが異なる)スマホでは何かしらの縮小処理が必ず働くので、他社サイトとだいたい同じに見えます。

*5:プロがよく使っている現像アプリ、Capture Oneの縮小処理だとどのようになるかはわかりません。

*6:今見たら最新記事はリンギングはついていませんでした。ある時期からついた/やめたとといった法則性も感じないので、編集部の体系的な対応ではなさそうですね。担当カメラマンの意向/レンズメーカーの意向、などの深読みもできますがまぁ、切りがないですね……。

*7:「古くさい」とは言いたくない。

*8:AdobeRGBなどのカラープロファイルは維持されますが、結構な圧縮がかかるので、オリジナルファイル以外は等倍でそれなりのjpgノイズが入ります。