coluli

安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

自作ビデオスタビライザー「剪定鋏式 改」

新コンセプトのビデオスタビライザー(いわゆる「ステディカム」)を自作してみました。

名称は、剪定鋏式 改(せんていばさみしき かい)です*1

DIY Steadicam

安物の小型三脚に簡単な工夫を加えています。

簡単なサンプル動画を用意しました。

ふたつのアイデアを盛り込んでいます。


「二脚」によるグリップ

小型の三脚を使い、そのうちの2本の脚を伸ばして握り手としています。カメラはやや斜め上向きに取り付け、撮影時には斜め下からカメラを支える形になります。

剪定鋏式改

◎写真は鏡の前で撮影後、反転しています。

このような効果があると考えています。

  • 両手で持つ事により、手首の動きの大半が封じられます。片手撮影で発生しがちな、手首の動きによるブレを抑えます。
  • カメラから手首までの距離を確保することにより、アングル変更の動きが緩慢になります。パンニングなどが滑らかになります。
  • (真下や真横ではなく)斜めから距離を確保する*2 事により、あらゆる方向の動きが緩やかになります。
  • 片手で持つよりも疲れません(けっこう大事な事です)。

カウンターウェイトの追加

2本の脚を握り手部分よりもさらに伸ばし、端におもり(カウンターウェイト)をつけています。金具の枚数を増減して、重心が握り手部分(の中央)に来るよう調整しています。

Counter weight

おもりを結束バンドで取り付けました。

Balancing on a chair

椅子の背に乗せて重心位置を確認しています。

このような効果があると考えています。

  • 握り手の力を多少抜いても、基本、向けた方向(見上げた/うつむいた)をそのまま維持します。
  • 重心部分を掴んでいるので、パンニング時に意図しない反作用は発生しません。
  • 全体重量が増加するため、歩行時の上下動が慣性により緩和される事が期待されます。

ジンバル式との違い

いわゆる「マリーン」タイプなどと異なり、一般的なスタビライザーのキモである「ジンバル(自由関節)」を使用していないので、特徴が異なります。

  • シビアなバランス調整は不要です。
  • 水平視点が基本*3 のジンバル式と異なり、(見上げる/見下げるなど)ティルトの自由度が高くなります。
  • 両手でしっかり握っているので風の影響はありません。
  • 重心部分を握っているのでドロップタイムは∞となり(ドロップが発生しない)、揺り戻しによる時間差を伴った補正はありません。ステディカム独特の「浮遊感」は発生しません
  • 小型のコンデジ専用です。

動作原理について

前回のエントリー紹介した動画の中で説明されていた、ビデオスタビライズの二つの原理を両立させるものとして考案しています。

How to Make an Impromptu Camera Stabilizer

Adding counter weights increases the camera’s inertia and improves balance.
カウンターウェイトを追加すると、カメラの慣性を増大させ、バランスを向上させます。

Wider hand grips reduce the effect of random hand movements.
幅広のハンドグリップは、ランダムな手の動きの影響を低減します。


簡単な手間でそこそこ効果があります。費用もほとんどかかりませんでした。また、遠目には「カメラと三脚を持ち運んでいる」ように見えるので、目立ちません。

実利を求める人にはオススメです。


*1:以前作った「剪定鋏式」は二脚によるグリップのみで、カウンターウェイトを付けていませんでした。

*2:真下(一脚タイプ)ではY軸上以外で、真横(ワイドハンドルタイプ)ではX軸上以外で、カメラからの距離が0になるため、手首の影響が残ってしまいます。

*3:ドロップタイムを長めに調整した上で練習を重ねれば、ジンバル根元をいじる事によりアングル変更は可能なようです。