しがらみフォントを削除しました。
「しがらみフォント」とはアンチエイリアス無しの表示に最適化したビットマップフォントを持つフォントのことです*1。古いOS向けの古いフォントです。Macintoshであれば「Osaka」、Windowsであれば「MS Pゴシック」などがあたります。
PCやタブレット、スマホ画面の高解像度化、iOSやAndroidなど新しいOSの普及、既存OSのアップデートなどにより、テキストのアンチエイリアス表示はすっかりデフォルトになりました。一般のサイトもClearType対応の日本語書体「メイリオ」を前提にしたcssを使うようになり、Windows日本語版特有の、貧相な見えのサイトは減ってきました。
「始めて使うOS」がスマホのOSの人も増えたと思います。最初から綺麗なアンチエイリアス表示に慣れた人はわざわざ「アンチエイリアスなしの方が見やすい」などとは言いません。
「しがらみフォント」は役割を終えたと考えるので、自分の環境からは削除します。
OSXの場合
システムから「Osaka.ttf」「OsakaMono.ttf」
/Library/Fonts/Osaka.ttf /Library/Fonts/OsakaMono.ttf
を管理者権限で削除します。
古いサイトでは未だにOsakaをfont-family指定の最初に持ってきているものがありますが、ヒラギノ角ゴシックProNなどで表示されるようになります(ブラウザの設定によります)。
下は、私がよく見に行くサイト「デジカメジン」さんのとあるページです(引用箇所に他意はありません)。cssにOsakaが含まれています。
Osakaを削除することでヒラギノ角ゴシックになります。やや細く・大きくなります。
Osakaの品質が高ければ/好みであればそのまま放置してもよいのですが、アウトラインフォントとしてのOsakaは単なる「平成角ゴシック」です。平成角ゴシックはアウトラインフォントの普及を主目的としたもので、表示品質を最優先して開発されたフォントではありません。また、「レギュラー」のウェイトがやや太めで本文サイズでは画数の多い漢字がつぶれがちです。
Windowsの場合
「ClearTypeを有効」にし、ブラウザの書体設定を「メイリオ(Meiryo)」にしておけば概ね問題ないのですが、font-familyの先頭を「MS Pゴシック」にしているサイトはまだまだ多いので、アンチエイリアス無し表示の排除はなかなか実現しません。
力技(ちからわざ)ですが、MS Pゴシック(MSゴシックファミリー)からビットマップフォントを削除します。
作り方:
フォント作成ソフト「TTEdit(有償*2 )」を使ってシステムからMS Pゴシック、MS Pゴシック、MS UIゴシックを「一括コピー」することで、ビットマップフォントの削除を行ないます(TTEditは、既存フォントのコピー時にビットマップフォントをコピーしない)。
その上で、オリジナルのフォント情報をそのまま書き写すことで、ビットマップフォントを含まないMSゴシックのクローンが出来上がります。
仕上げに、フリーウェア「UniteTTC」を利用しttfファイルをttcファイルに統合し、Windowsのシステムに上書きします。
通常、本文サイズではMS Pゴシック内蔵のビットマップフォントがアンチエイリアスなしで表示されます。
ビットマップフォントを削除すると、アウトラインフォントをベースにClearTypeでレンダリングされます。
今後、画面の高解像度化が進めば文字サイズは「大きく(=高精細に)」扱われるでしょう。ビットマップフォントでの小サイズ表示は不要になると考えています。