先日のエントリー、「60fpsで(やっと)テレビ並み」のサンプル動画、われながらひどい出来でした。反省しています。
「カメラをくいくい振り回す」、「むやみにズームを使いまくる」、「移動中に腕をだらりと下げて地面を延々映す」等々、たかだか2分半ほどの動画にビデオ撮影の初歩的な間違いを山ほど盛り込んでしまいました。
ご覧になった方は「60fps」のサンプル、というよりも「お父さんがやってしまいがちなビデオダメ撮影」サンプルに見えたかもしれません。
再撮影に挑戦してみました。
ビデオスタビライザーを導入
たまたま(本当に偶然に)読んでいた『Make:』の創刊号(日本版|Volume 01)に「14ドルで作るビデオカメラスタビライザー」という記事が載っていました。
記事の扉です。確かにこんな道具があれば、ビデオカメラが安定するかも知れません。
使うときにはやや腰を落とします。この人が作者のようです。
概念図。記事には、材料の解説や実際の作り方が懇切丁寧に載っていました。
確かにこれを導入すれば、撮影は改善するかもしれません。
090620|追記 作者のサイトに内容がまるまる掲載されていました。「$14 Steadycam The Poor Mans Steadicam」。
スタビライザーの動作原理
作り方は細かく書いてあったのですが、肝心の動作の原理はいまひとつ詳細に書かれていませんでした。誌面を眺め、動作原理を想像してみました。次のようなものです。
まず、質量(重さ)を増やす。
慣性の法則を利用します。質量を増やす事により、外部の(力学的な)影響を受けにくくします。あえて「とり回しにくくする」ことでカメラの動き全般を滑らかにします。
上下に長くする。
Y軸方向に質量を分布させます。「上も下もまんべんなく重くし、また、塊として大きく(上下に長く)する」という事です。これにより慣性モーメントが大きくなり、カメラのティルト(Y軸の傾きのぶれ)が起こりにくくなります。おもりのついた鉄パイプは、いかにも振り回しづらそうです。
重心は手元(のやや下)に。
記事には書いてありませんでしたが、重心は持ち手のやや下あたりのようです。質量を大きくするためにむやみにおもりを(下に)つけると重心が下端に偏り、振り子のようにぶらぶらとしてしまいます(動かしてみてわかりました)。重心が手元近くであれば、左右に振り回しても、カメラは傾かず、平行に移動します。
腕をバネ代わりに使う。
いわゆるステディカムのような複雑な機構がない分、人間が補ってやる必要があります。要は使っている本人がカメラを揺らさないようがんばれ、という事です。
作らずに済ます
動作原理はわかった気になったのですが、めんどくさいので「わかった! さあ作ろう」という気にはなりません。なんとか楽に済ます方法を考えてみました。
結論からいうと、
「ビデオカメラに一脚をつけて、それを手で持って撮影してみる」
事にしました。
手持ちのビデオはもともと軽いもの(約600g)なので、一脚程度の重量増(+650g)でも十分効果が見込めると思いました。また、(総重量を変えずに)長さを調整できるので、重心のコントロールも容易だと考えたのです。
こんな感じです。SONYのHandycamにSLIKの一脚の組み合わせ。
使っている一脚はもっと伸ばす事もできますが、使い勝手と効果のバランスでこの長さにしています。また、先端におもりをつけ、重量増を試してみましたが、重心が下に偏るばかりで効果はありませんでした。この長さぐらいが良いようです。
撮影結果
こんな感じです。どうでしょう。
◎フルサイズ版をこちら(MobileMe)に用意しました。サービス終了しています。
「シャイニング」程ではないですが、縦/上下共におおむね安定していると思います。カメラを横にパンする際に若干もたつく(後、スキップする)感じがありますが、これはビデオカメラ自体の手ぶれ補正の誤作動(誤判断)です。今度はオフで試してみます。