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安物のカメラ機材を使ったテスト撮影ばかりしています。

DC-GH5|コントラストとハイライト・シャドウ

DC-GH5のふたつの設定、「コントラスト」と「ハイライト・シャドウ」の挙動、その組み合わせについて検証してみました *1


わかったこと

  • コントラスト」の挙動と「ハイライト・シャドウ」の挙動は異なります。
  • コントラスト」の数値を下げるとコントラストが下がります(これは当たり前)。
  • コントラスト」の数値を変えても白レベル・黒レベルの変化は少ないです。白飛び・黒つぶれを抑制する効果はあまりありません。
  • 「ハイライト・シャドウ」の数値を変更して逆S字型のトーンカーブにすると、コントラストが下がります。
  • 「ハイライト・シャドウ」の数値の変更はハイライト部やシャドウ部のみならず、白レベル・黒レベルにも影響します。白飛び・黒つぶれを抑制する効果があります。

コントラスト」の挙動

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  • 設定値を変更しても、白レベル(ハイエストライト)・黒レベル(ローエストシャドウ)はあまり影響を受けません。

「ハイライト・シャドウ」の挙動

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  • 設定値を変更するにつれ、白飛び・黒つぶれが減っていきます。
  • [ハイライト:-3 シャドウ:+3]がかなり実用性が高そうです。見た目の印象と後処理のマージンのバランスでは[ハイライト:-2 シャドウ:+2]が全撮影の中で一番良さそうです。

コントラスト」と「ハイライト・シャドウ」の併用

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  • 白飛び・黒つぶれを抑えつつ、眠くならないようコントラストを上げる、といったこともできます。
  • コントラスト:+5][ハイライト:-5 シャドウ:+5]といった極端な値では、やはり不自然な見えになるようです。

実際には、曇り空(雨天)で順光、という条件ならばCinelike Dのデフォルト値でも実用上は十分でしたが最も見た目の印象に近いものでした。晴れた日の屋外、輝度差の大きい環境でも改めて検証する必要があります。


用語の定義についてはこちらの記事も併せてご覧ください。

181002|追記

翌日、改めてテスト撮影を行いました。

  • 前回オフにしていた、iDレンジコントロールを[ Auto ]にして、黒つぶれ防止を狙っています。
  • 前回は雨天でしたが、今回は明るい曇天です。輝度差が増しています。
  • 数値の組み合わせを微妙にしました。

さらにわかったこと

  • 白飛び・黒つぶれはともかく、見た目の印象が最も近いのはやはり、デフォルトのCinelike Dでした。
  • ただし、評価測光による自動露出でやや暗くなっています。実際はもっと明るい印象でした。
  • 前回の撮影と天候が変わった途端、今回は大きく白飛びを起こしています。汎用性のある設定値を見つけるのはなかなか難しいようです。

Premiere CCによる後処理。

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  • 白飛びを抑えるべく、Premiere CCで[ 白レベル ]を操作してみたところ、隠れていた階調が出てきました。ハイエストライトは飽和していませんでした。すなわち、6K Photoモードでの10bit動画は、輝度レベル[ 0-1023 ]ではなく[ 64-1023 ]あるいは[ 64-940 ]で収録されていることになります。
  • Premiere CCによる後処理を前提にすれば、多少の白飛び・黒つぶれは回避できそうです。


*1:

  • 6K Photoモードで撮影しているので、マスターペデスタルの設定値は設定できません。デフォルト値と思われます。
  • 彩度はデフォルト値の±0です。

DC-GH5|Photo Styleの検証課題

DC-GH5のPhoto Style検証ですが、思ったより設定項目・パラメータが多く戸惑っています。

最適な設定を見つけるべく検証予定の、Photo Styleの5種類のカスタム方法について、今後の展望をメモっておきます。

「撮って出し」前提

01|Cinelike Dをベースにした設定

  • 旧来(DMC-GH2時代)の、アマチュア映像作家が試行錯誤していた方式です。
  • 細かなパラメータの最適化については既に様々なblogで言及されています。
  • 単なる過去の焼き直しではなく、より解像感の高い「6K Photo *1」を使用できるのがメリットです。
  • ほかの人があまり使わない、「iDレンジコントロール」を併用する *2アドバンテージもあると考えています。
  • ベースのStyleは必ずしも「Cinelike D」である必要はありません。「Natural」や「Cinelike V」でも構いません(ですが、きりがありません)。

02|Like709をベースにした設定(未着手)

  • 「ニー」の設定を利用して、ハイライトを適切に丸め、白飛びの少ない映像を得たいと考えています。
  • CineLike Dよりもより軟調な素材として、(若干の)後処理を前提とした利用方法を考えています。

03|Hybrid Log Gammaをベースにした設定 01

  • HDR(High Dynamic Range)映像のためのPhoto Style、「Hybrid Log Gamma」を使った、SDR(Standard Dynamic Range)映像です。
  • HLG をPQ(Perceptual Quantization)のガンマとして捉えると、 は、ハイライト側の階調にめっちゃ余裕があるので、露出オーバーで撮影すると、いい感じにハイライトの階調に余裕がありつつ、白飛びの少ない絵が作れそうです *3

LUTをあてがう前提

04|V-Logをベースにした設定(未着手)

  • いわゆる、世の中の人たちがやっている方式です。
  • アップグレードキーはまだ購入していません。
  • DC-GH5からは10bitになって階調の破綻は減りましたが、log収録はやはりハイライト部の劣化(バンディングの発生)などが気になります。8bitは論外としても、10bitでも足りないのではないか *4、と考えており、着手をためらっています。
  • 中途半端に「プロ指向」なのも本意ではありません。また、もうすぐraw収録の時代 *5が来るのがわかっているので、やや今更感があります。アマチュアならではのアプローチは重視したいので、しばらくは手を出さないつもりです(追加料金もかかるし)。

05|Hybrid Log Gammaをベースにした設定 02(未着手)

  • Hybrid Log Gammaで収録した映像にLUTをあてがうことで、 PQ SDRとして最適な階調を得られるようです。
  • HLG用のLUTが配布されています *6

このメモは自身の現時点での技術の理解度を示すものでもあります。詳しい方、あるいは将来の自分自身がみたら鼻で笑ってしまうものかもしれません。

181018|追記 さっそく間違いに気づきました。PQはHDRのガンマ形式のひとつのようでした。修正しました。


*1:

*2:

*3:   

*4:

*5:

*6:

サブピクセルレンダリングの終わり

こちらの記事によると、最新のOSX Mojaveでは、サブピクセルレンダリングの機能がシステムレベルで削除されたようです。

applech2.com

iPad(2010年発売)のように画面を回転させて使うデバイスと、サブピクセルレンダリングの技術は親和性が低いので、しかたありません。むしろ、8年近くかけて徐々にフェードアウトさせたAppleを評価すべき、とも思います。

さようなら、サブピクセルレンダリング


カテゴリー「サブピクセルレンダリング」も併せてご覧ください。


(190117|追記)

サムスン有機ELなど)最新スマートフォンのディスプレイのサブピクセルは、「RGBストライプ」ではなく、「ダイヤモンドペンタイル配列」が採用されているそうです。これだと旧来のサブピクセルレンダリングを使うことはできないですね。

こちらの記事も面白い。ペンタイル方式の多画素パネルの実質的な解像度は高くない、という指摘です。

こちらの記事によると、iPhone Xのディスプレイは色によって解像力に差があるとのこと。

DC-GH5|拡張感度ISO100

細かな設定の変更でなんとかハイライトの飛びを抑える方法はないかな、といろいろテスト撮影している途中で気づきました。

拡張感度のISO100では、ハイライトは完全に飽和してしまう。

のでした。

画面上部中央の空に着目すると、拡張感度のISO100では本来の青空が完全に白く飛んでいました。飽和してしまった後はiDレンジコントロールでもPremiere CCでの編集時に白レベルを下げても階調は戻ってきません。

よくよく考えれば、基準感度以下、あくまでも見かけ上の「低感度」でセンサーに適正露光以上の光をあてるのですから、飽和するのも当然です。「拡張感度」はあくまでも緊急避難的な設定だと改めて理解しました。

前回のテストでの不自然なまでのコントラストの高さは、一部のPhoto Styleで拡張感度ISO100を使用していたことも原因のひとつだったようです。


そもそもセンサーの飽和について、以前検証したことがあるのをを忘れていました。


ちなみに、今回のテスト撮影ではどの感度の場合もiDレンジコントロールによる白飛び回避は確認できませんでした。また、これまでに行った別の機種(DMC-G7)でのテストでも、白飛び抑制効果は確認できていません。iDレンジコントロールはあくまでも、シャドウ部のゲインアップによる黒つぶれ回避のみを行うようです。

DC-GH5|マスターペデスタルの設定

マスターペデスタル(黒基準)の挙動について、設定値を変更しながらテスト撮影を行いました。


Cinelike V/Master pedestal: 0

↑ マスターペデスタルの設定値は[ 0 ]です。コントラストの高いPhoto Styleの[ CineLike V ]では、シャドウ部がかなり潰れてしまっています。

Cinelike V/Master pedestal: 15

↑ マスターペデスタルを最大値の[ +15 ]にすることで、シャドウ部のつぶれが大幅に緩和されました。(上げすぎによる)黒浮きも特に感じません。

Cinelike V/i.Dynamic: HIGH/Master pedestal: 15

↑ さらにiDレンジコントロール([ 強 ])を併用することで、シャドウ部のつぶれがさらに緩和されました。


Cinelike V / Master pedestal: 0

↑ [ マスターペデスタル:0 ]暗部は完全に潰れてしまっています(画面下部の白い線)。

Cinelike V / Master pedestal: 15

↑ [ マスターペデスタル:15 ]暗部の階調が戻ってきました。

Cinelike V / i.Dynamic: HIGH / Master pedestal: 15

↑ [ マスターペデスタル:15 ]+[ iDレンジコントロール:強 ]黒つぶれは残っていますが、暗部の階調はかなり出てきています。


Photo Styleの種類、撮影場所(屋外/屋内)の輝度域により、設定すべき数値は異なりますが、マスターペデスタルの数値の調整は黒つぶれの回避にとても役に立ちそうです。


190115|追記 その後、輝度レベル[ 64-940 ]との組み合わせで、白飛び・黒つぶれの少ない値を見つけました。

DC-GH5|Photo Styleの検証 01

DC-GH5の最適な設定を探っています。近所の公園でテスト撮影を行い、各Photo Styleを比較してみました。

比較的デフォルトのまま

ほぼデフォルトの状態で、Photo Styleの[ Standard ][ Vivid ][ Natural ][ Scenery(風景) ][ Portrait ][ Cinelike D ][ Cinelike V ][ Like709 ][ Hybrid Log Gamma *1 ]を比較しました。編集時に階調はいじっていません。「撮って出し」の状態です。

主な設定

  • より解像感の高い6K Photo(S/S)で撮影したかったのですが、Hybrid Log Gammaを選択できないため、Anamorphic 6K(高解像アナモフィックモード)で撮影し、4Kサイズに縮小・クロップしています。
  • 拡張感度のISO100 *2 で撮影しました。拡張感度を使用できない[ Like709 ]はISO200、[ Hybrid Log Gamma ]はISO400で撮影しました。
  • マスターペデスタル(黒基準)は[ ±0 ]です。
  • 輝度レベル設定は[ 0-1023 ]です。10bitとなります。
  • 彩度は一律[- 2]で撮影しています。DMC-G7を使ったテスト撮影を参考にしました。
  • [ Like709 ]のニー設定はデフォルト([ Auto ])です。

所感

  • EM-10 Mark IIIのテスト撮影時に経験していたのである程度は想定内でしたが、今回もかなりコントラストの高いものになってしまいました。
  • 全体の露出は合っていますが、最暗部は全設定で潰れてしまっています。
  • 大半のシーンで白飛びが発生しています。唯一、[ Hybrid Log Gamma ]のみが、白飛びを回避できています。

iDレンジコントロールで暗部の救済

iDレンジコントロール(i.Dynamic)を[ 強 ]にして、白飛び・黒つぶれの回避を試してみました。Olympus機の「階調:オート」に相当する機能です。

◎[ Like709 ][ Hybrid Log Gamma ]には、iDレンジコントロールは適用できません。比較のため並べています。

所感

  • 白飛び・黒つぶれは大幅に緩和されましたが、まだ残っています。

露出補正

撮影時に105%を超える輝度を示すゼブラパターンが出ていたので、-1EVの露出補正をかけました。

◎[ Hybrid Log Gamma ]では当初から白飛びしていませんでしたが、一律下げています。

所感

  • 空の階調はよく出るようになりました。その分、シャドウ部が潰れまくっています。
  • -1EVだけでは白飛びを完全に回避することはできませんでした。

今後について

輝度差の大きい状況でもなんとか白飛び・黒つぶれを回避したいと思います。他にやれることとしては、

  • 各Photo Styleのコントラスト設定を下げる。現状はデフォルトの[ ±0 ]。
  • ハイライト側に余裕があり、黒つぶれが発生している[ Hybrid Log Gamma ]を明るく露出補正して利用する。
  • マスターペデスタルの数値を変更してみる。
  • 輝度レベル設定を変更してみる。
  • 輝度内に収めることをあきらめ、露出補正でハイライト側・シャドウ側のいずれかを救済する。

などでしょうか。

おまけ

その場のアドリブで設定を変更したカットを載せておきます。

  • 一番軟調の[ Cinelike D ]を使い、
  • さらにコントラストを最小値の[ -5 ]にして
  • ゼブラパターンが消えるよう1.33EVアンダーに補正

しています。

全体の印象は暗く、黒つぶれも発生していますが、ハイライト〜中間調はだいぶ豊かになりました。いろいろ追い込めばなんとかなる気がしています。


*1:Hybrid Log Gammaの本来の利用方法とは異なりますが、「擬似log収録」として加えています。

*2:180923|追記 拡張感度を使用したのは間違いでした。別のテスト撮影時に気づきました。

DC-GH5|4K/6K Photo動画はより解像する

先日、DC-GH5はAnamorphicモードや6K Photoモードを使って6K動画を撮影できる、という記事を書きました。

その際に、6K Photoを使った動画は特に解像感が高いことに気づきました。

気になったので、4K60pでも同種のテスト撮影をしてみました。

通常の4K60p動画と、60fpsの4K Photo(4KH8M) を同条件で撮影しています。わずかな差ですが、やはり4K Photo動画の方がよく解像しています。

190530|追記 小さく表示させて閲覧すると、4K Photo動画に切り替わった瞬間、シャッキリすると同時に建物の壁面(タイル)にモアレが発生しますね。

拡大画面

タイルの目地の溶け具合に着目するとわかります。シャープネスの強弱以上の差を感じます。


特にデメリット *1 *2 *3 もなさそうなので、しばらくはこちらの4K/6K Photoモードでの動画をメインに利用してみようと思います。


ちなみに、気になったので別の機種、DMC-G7の4K動画と4K Photo動画の解像感も比較してみましたが……

こちらは有意な差を見出せませんでした。


*1:180923|追記 6K Photo動画ではPhoto Style「Hybrid Log Gamma」が使えませんでした。残念。

*2:180924|追記  6K Photo動画ではマスターペデスタルの数値を調整できませんでした。残念。

*3:181019|追記 6K Photo動画では輝度レベルの設定を変更できませんでした。残念。